ソフトウェア協会(SAJ)として政策要望をとりまとめました

2024年3月7日

当協会では以下の通り要望をとりまとめ、2024年1月17日に、日本IT団体連盟へ政策要望を提出しました。

要望項目一覧

1.全国統一教育プラットフォームの構築
2.マイナンバーを利用したIT基盤の構築
3.ISMAP-LIUにおける制度見直しについて
4.ISMAP-LIUの項目見直し
5.デジタル化促進を阻害する規制・ガイドラインの変更
6.ソフトウェア製品・サービスのJIS認証推進
7.個人情報保護法 規制緩和のお願い
8.年末調整業務のデジタル化推進
9.デジタルインボイスや電子帳簿保存の普及活動
10.GビズIDアカウント作成のデジタル完結化
11.GビズIDの民間サービス連携の推進
12.デジタル完結のための特定創業支援等事業支援証明書の電子交付
13.中央省庁におけるクラウド型電子契約の利用推進
14.租税条約第12条の技術上の役務に対する源泉税の撤廃
15.政治資金規正法のデジタル化

要望概要

1.全国統一教育プラットフォームの構築

現在、地方と都市部における教育資源の不均衡すなわち教育格差は、地方分散型社会を実現する上での障壁となっている。この教育格差により、地方在住者が同等の教育環境を得られないという懸念があり、結果として多くの人々が都市部での子育てを選択する傾向にある。また、近年は多様なバックグラウンドを持つ生徒の数が急増しており、一律の指導方法では個々の学習者のニーズに応えることが難しい状況である。生徒が自身の学習進度を把握し、それぞれに合ったやり方で学習を進めていくことが重要となる。このような状況を改善するために、AIを用いた全国統一型の教育コンテンツプラットフォームの活用が必要不可欠である。AIは各生徒の学習パターンを分析し、その生徒に合わせた個別の学習プランを作成することが可能となる。例えば、生徒の進捗、学習方法の傾向、強み、弱点や学習するうえで何につまずいているかを把握し、それに応じた学習コンテンツを提供する。これにより、生徒は自分で学年、教科、単元を選択し、自身に合ったドリル教材に取り組むことができ、基礎学力の定着を図ることが可能となる。このような支援体制の構築によって、学習者が自主的に進捗を把握し、学びを深められるようになることが、全ての教育格差の是正につながるのではないか。また、家庭環境や教育環境などによるデジタルディバイドを生まないため、教育機関や教育機関外の公共施設におけるアクセス環境整備など、全ての生徒が平等にプラットフォームへアクセスできる施策を講じるべきである。
よって、AIを用いた全国統一型の教育コンテンツプラットフォームの構築を要望する。

2.マイナンバーを利用したIT基盤の構築

「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」第二条第七項では氏名、住所、生年月日、性別、個人番号その他政令で定める事項の記載と記録の両方が求められているが、記録のみを必須とし記載を省略したデザインのカード(ナンバーレスカード)も発行できるようにしていただきたい。記載事項はクレジットカードのナンバーレスカードのように、ローマ字表記の氏名、有効期限(クレジットカードは発行日)。加えて、マイナンバーの下4桁と同姓同名者がある場合の枝番だけにしてもらいたい。また、本来マイナンバーは、識別子であり暗証番号ではないので普通に使えるべきであり、特定個人情報制度を廃止していただきたい。

3.ISMAP-LIUにおける制度見直しについて

DX推進においては、SaaSの活用が有効だが、信頼できるSaaSサービスを選定するために、多くの利用者がチェックリストによるリスク評価に時間を費やしている。ISMAP-LIUはそのような効率化と信頼性確保の両立のニーズに応えるべく制度を開始したが、その監査工数の負担は大きく、CSP(Cloud Service Provider)事業者のメリットが少ないため、普及が十分に加速できていない。
よって、ISMAPはIaaS、PaaS専用、ISMAP-LIUをSaaS専用サービスとして制度の見直しを求める。
・SaaS専用とする事で利用期間における事前の影響度評価を無くし、利用機関側の負担を軽減し利用を加速する。
・ISMAP登録済みのIaaSないしはPaaSの基盤の上に構築している事を条件とする。基盤の管理策の参照を可能とすることでCSP(Cloud Service Provider)の負担を軽減し、登録を加速する事を可能にする。
・ISMAP-LIUの利用増により、ISMAP事業者の登録メリットも向上させることでISMAPの制度維持拡大を図る。
・ガバナンス及びマネジメント領域に関する要求は、ISO/IEC27OO1、27014、27017認証の実績とのマッピングにより、管理策ごとに参照する事で差分認証を可能にし、CSP事業者にとっての多重投資を抑制する。
・地方自治体での調達の加点要素とし、Digital Market Placeへの優先的登録など具体的なベネフィットをCSP事業者に提示する。
また、「情報セキュリティ管理・運用の基準」「監査機関登録申請者に対する要求事項」等について、ISMAP運営委員会でどのように議論が行われ決定されたのかが不明確であり、委員名簿が公開されていないため利害関係者が委員となっているかのチェックもできない状態にある。そのため、委員名の公開と議事録の公開を求める。なお、委員名の公表により不適切な接触が行われることを懸念するのであれば、形式の如何を問わず委員への接触者と内容の記録公開をする仕組を整えることを合わせて要望する。

4.経済安全保障及びグローバルにおける競争力低下を防ぐためのソフトウェア管理の推進

米国はEO(Executive Order)、欧州はCRA(Cyber Resilience Act)と経済安全保障の観点からもソフトウェアの管理はより厳格化が求められ、特に米国はSolarwindsやLog4jなどの脆弱性問題から連邦政府のソフトウェア管理が強化されている。またこのグローバルの流れはソフトウェア管理を適正に行えなければ、産業競争力の低下を招きかねない事態であり、海外ではエネルギーや自動車、医療、金融など特定の業種においても議論が活発化している。我が国は欧米の流れを受けて経産省から手引書を公開しているが国としての方向性や対応が見えないのが現状である。
よって、我が国としてのSBOM(Software Bill of Materials)などを用いたソフトウェア管理の方向性や政策の推進を求める。
(1)我が国の安全保障をふまえたソフトウェア管理の国家としての指針や新しい整備(EO、CRAのような強い発信)
(2)特に我が国における特定重要技術、生命や財産に直結する医療や関連機器、金融や自動車など、重要インフラ事業者のシステム設計、開発、運用にかかるソフトウェア管理(SBOM)に対するプラットフォームなどを提供する技術的・組織的体制の構築
(3)経済安全保障ならびに国民の安心・安全に直接的に寄与する重要インフラ事業に対するソフトウェア管理強化(SBOM)を行う、または提供するスタートアップに対する補助金制度

5.デジタル化促進を阻害する規制・ガイドラインの変更

ヒューマンエラーを補完する装置は、デジタル化社会実現のための方策の一つとして期待されている。しかし望まれるデジタル化とは人の判断や確認に頼らないプロセスへ改善していくことであり、それを阻害する規制やガイドラインは適切かつ柔軟に修正変更すべきである。例えば、送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のガイドライン(令和4年12月20日)では「降車時確認式」、「自動検知式」の2種類の方式の装置について要件が定められた。この2方式はいずれも運転手等の確認が主で、装置は補完であるという考え方が前提となっている。真のデジタル化社会を推進するために現行ガイドラインの変更が必要である。痛ましい事故の記憶が風化する前に、デジタルの力を正当に活用した施策を推進することによって子供の命を守り、社会課題の解決につなげたい。
よって、現在、デジタル行革で進めているアナログ規制7項目の見直し(①目視、②定期検査・点検、③実地監査、④常駐・専任、⑤書面提示、⑥対面講習、⑦往訪閲覧・縦覧)の原則を新たに作るガイドラインにも適用するものとして、人間による確認漏れを防ぐことができるような仕様としなければならないことをデジタル庁から全庁宛に通達を出し徹底することを提言する。

6.ソフトウェア製品・サービスのJIS認証推進

一層の普及促進とソフトウェア産業の健全な発展のため、JIS認証によるセキュリティ評価の標準規格化等が必要である。
(1)JIS認証によるセキュリティ評価をISMAP-LIUの仕組みに取り入れ、政府の基盤インフラに連携する場合の標準規格にしていただきたい。
(2)JIS認証を取得する企業に対する補助金を創設していただきたい。
(3)当該認証を取得した製品は、製品内容もセキュリティ的にも安心・安全な製品として政府や自治体及び準ずる機関への調達基準として認証取得企業規模の大小にかかわらず採用していただきたい。

7.個人情報保護法 規制緩和のお願い

我が国の個人情報保護法はガラパゴス化しており、GDPRと相互認証しているものの、差分を個人情報保護委員会のガイドライン(違反に対しては行政処分が可能であることをもって、enforceできるとしなければならない状態にあり、そのことも個人情報保護法の特異性を象徴している)で埋めるという手法を採用せざるを得ない状態である。グローバルのビジネス展開をサポートするためにはGDPRとの差分を埋めていく必要があり、少なくとも個人情報の定義を欧米に合わせることと、利用や第三者提供について公衆衛生例外のような規定だけで対応することを求めている現行法に、legitimate purpose による利用や第三者提供を加え、GDPRと平仄を整えて行くべきであり、次回の改正時にはこれら2つを組み込むことを要望する。

8.年末調整業務のデジタル化推進

近年、税制の複雑化とともに、本来は確定申告の簡易版であるはずの年末調整の処理が、確定申告よりも複雑になる現象が発生している。これは、確定申告は年間の所得額が確定した状態で行うのに対し、年末調整では所得金額の見積額を用いる必要があるためである。この対応のため、民間、行政両側で多くのコストを費やしており、社会的に非効率となっている。年末調整業務は戦後に紙を前提として構築されており、その基本的な仕組みは令和の今でも変わっていない。先般公開された『経済財政運営と改革の基本方針2023』(令和5年6月16日)にも、「マイナポータルの利便性向上に加えて、個人や法人の税務・社会保障を始めとする各種手続の負担軽減に向けた取組を進める」(P11)との大方針が明記されたところであり、給与所得者の税務にとって重要な手続きである年末調整のデジタル化を積極的に進めていくべきである。
よって、社会全体としての生産性を抜本的に向上させ、社会的コストの最小化を図るために、年末調整は確定申告の「簡易版」であると明確に位置付けた上で、年末調整業務の業務プロセスを実施時期や実施主体も含め、根底から見直す「年末調整業務のデジタル化の推進」を要望する。
具体的には、給与支払報告をデジタルで行うこと、また、デジタルで収集されたデータをもとに年始での年末調整業務とすることにより、1. 発生源でのデジタル化、2. 原始データのリアルタイムでの収集、3. 一貫したデジタルデータとしての取り扱い、4. 必要に応じた処理の主体の見直し、そして、確定した事実ベースの5つのポイントを実現する。

9.デジタルインボイスや電子帳簿保存の普及活動

適格請求書等保存方式(いわゆるインボイス制度)におけるデジタルインボイスや、電子帳簿保存法で認められる電子帳簿保存は、単なるペーパーレス・電子化にとどまらず、情報の発生源からデジタルデータとして扱い、事業者の業務のデジタル化を通じて業務の大幅な効率化、ひいては我が国全体のDX化と生産性向上を実現する大きな機会である。大企業においては、上記の業務効率化のメリットは自明であり、自発的な取り組みが期待できる。一方で、中小企業においては、事業規模に応じ、実現される業務効率化のメリットが相対的に小さなものとなるため、自発的な取り組みには限界がある。しかし、デジタル化にはネットワーク外部性が強く働くため、社会全体で取り組むことが必要である。つまり、特に中小企業におけるデジタルインボイスや電子帳簿保存の普及活動が必要である。
よって、中小企業におけるデジタルインボイスや電子帳簿保存の普及のために、対応システム導入に対する補助を実施していただきたい。いわゆる導入補助金的な形もあるが、実際の活用に対する補助も検討すべきと考える。また、導入補助金による導入時の支援のみでは、システムとしての導入にはつながっても、それが必ずしも実際の活用にはつながらず、効果に限界がある。そこで、キャッシュレス・ポイント還元事業の学び(買い手にポイント還元というインセンティブを提供することによって、買い手から売り手に対し、キャッシュレス払いを受け付けるプレッシャーをかける効果があり、これがキャッシュレスの推進につながったと考える)を活かし、一つの案としては、デジタルインボイスにおいてもデジタルインボイスを受信する側にインセンティブを提供する(例:仕入税額控除を1%上乗せできるなど)ことも検討できるのではないか。これにより、受領側からデジタルインボイスを積極的に活用しようという動きが生まれることが期待できる。

10.GビズIDアカウント作成のデジタル完結化

GビズIDは国が運用する法人・個人事業主向け共通認証システムであり、そのアカウントをデジタルIDとして用いることにより、法人・個人事業主が行うさまざまな手続きがオンライン化できる。また、現在すでに会社設立登記及び同時に行う商業登記電子証明書の交付申請までオンラインで完結し、さらに、そもそも法人代表者の印鑑登録自体が不要となっている。にもかかわらず、法人がgBizIDプライムのアカウントを取得するためには、法務局に代表者印を登録したうえで法務局が発行する印鑑証明書(紙)と登録印で押印した申請書(紙)が必ず要求される。デジタル完結させるための制度であるのに、本来不要な物理押印がかえって必要になるという、制度の趣旨や思想から著しく乖離する現状である。
よって、gBizIDプライムのアカウント作成のオンライン申請を可能としていただきたい。(その際、書面での実印・印鑑証明に代わるものとして、申請データに商業登記電子証明書による電子署名を付与することが適当)また、法人設立登記のオンライン申請時に、 gBizIDプライムのアカウントの同時オンライン申請を可能としていただきたい。

11.GビズIDの民間サービス連携の推進

GビズIDは国が運用する法人・個人事業主向け共通認証システムであり、そのアカウントをデジタルIDとして用いることにより、法人・個人事業主が行うさまざまな手続きがオンライン化できる。2022年6月7日に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」の工程表によれば、2022年度まで「民間サービス連携の検討」を検討することとなっていたが、実際には2022年度途中からすでに取組が進められておらず、2023年6月の改訂で工程表の該当部分も削除されてしまった。GビズIDの民間サービス連携が実現すれば、IAL-2、AAL-2の認証がなされたサービスがリーズナブルに享受できる。なお、自治体の中には、将来のGビズIDの民間サービス連携を前提とした制度設計を行っている団体もある。
よって、GビズIDの民間サービス連携の推進を要望する。

12.デジタル完結のための特定創業支援等事業支援証明書の電子交付

産業競争力強化法に基づく「創業支援等事業計画」における「特定創業支援等事業」による支援を受けた者は、会社設立時の登記にかかる登録免許税の特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」軽減の優遇措置を受けることができる。当該措置を受けるためには、市区町村が発行する「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」を法務局に提出することが必要になる。現在、会社法人登記にあたっては、公証人への定款認証嘱託も法務局への登記申請もはんこレス・ペーパーレス、オンライン完結で行うことが原則として可能であるが、上記「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」は市区町村から紙の書面で交付されるため、結果的に優遇措置を受けようとする場合には登記申請のデジタル完結・オンライン完結ができない。
よって、産業競争力強化法に基づく「創業支援等事業計画」の認定を受けた市区町村は、「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」を電磁的記録で作成し、市区町村長の電子署名を付して交付するものとしていただきたい。当面の間の代替措置として、現行の取扱いにより「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」が書面で交付されてしまった場合には、当該書面をスキャナーで取り込んで作成した電磁的記録を、別途電子署名を付することなく添付書面情報として送信できるようにしていただきたい。

13.中央省庁におけるクラウド型電子契約の利用推進

令和2年12月4日に契約事務取扱規則が改正され、中央省庁の契約にクラウド型電子契約が利用できるようになった。それを受けて内閣府規制改革推進室が「会計手続における クラウド型電子署名サービスの活用に当たっての考え方」(令和3年2月2日付け内閣府規制改革推進室事務連絡)を各府省庁宛てに発出し、「立会人型電子署名サービス(以下、「クラウド型電子署名サービス」という。)の利用が、民間事業者の間で広がりつつあり、利便性向上の観点から、行政機関における契約手続での活用が求められている。」とされた。にもかかわらず、中央省庁においてクラウド型電子契約は未だ利用されていないものと思われる。(なお、一方で地方公共団体ではクラウド型電子契約は急速な広がりを見せている)
この状況により、以下のデメリットが想定される。
・契約書(紙)の郵送または持参の手間や、紙での管理の手間などの負担が、中央省庁と契約相手の双方にかかること
・地方公共団体及び民間事業者のデジタル化に対する中央省庁のデジタル化の遅れ
よって、内閣府事務連絡において要請した内容のフォローアップを行い、中央省庁自らが範となって契約事務のデジタル化を推進していただきたい。フォローアップ後には、どういったケースでGEPSの電子契約またはクラウド型電子契約を利用すべきか、職員が迷うことのないよう、中央省庁で締結されている契約の類型ごとに利用することができる電子契約を整理した通知等を発出していただきたい。

14.租税条約第12条の技術上の役務に対する源泉税の撤廃

源泉税が技術的役務に課されるため、源泉税分費用が割高になっている。日印租税条約の技術的上の役務に対する源泉税10%がインドのソフト技術を活用する上で障害となっている。国内DX対策の一つであるIT人材不足を補うためにインドでの開発が必要であり、そのためにもこの制度の撤廃が重要である。日本におけるインドのソフトサービス利用は、3,000億円足らずである。これは、インドから海外への輸出額25兆円の約1.2%に過ぎない。日本によるインドのソフト利用が極端に少ないのは、源泉税の存在もその一因と想定される。日印租税条約の使用料及び技術上の役務に対する源泉税率は平成元年時点で20%であったが、平成17年の条約交渉で日本側の0%の要望に対して、インド側の事情で10%で決着した。近年、印度経済団体(FICCI・CII・NASSCOM)は源泉税撤廃を日印両政府に要望している。
よって、日印租税条約第12条の技術上の役務に対する源泉税を撤廃していただきたい。

15.政治資金規正法のデジタル化

政治資金収支報告書の記載の過誤が発見され複数の国務大臣が辞任したり、検察が国会議員を聴取するというような報道が相次いでおり、政治資金に対する世論の不信感が高まっている。霞ヶ関は我が国随一のシンクタンクではあるものの、代替する政策案を提言できるようなシンクタンクは存在しておらず、政策策定のための調査や検討を積み重ねていくことが各議員に委ねられている現状に照らすと、税金を原資とする政党助成金や調査費などだけで十分に政治活動のための資金が賄えているとは良い難く、寄付や政治資金パーティ開催による資金集めも重要なものである。そのためには、国民に不信感を抱かれ得ないよう、政治・政策活動のための資金を適正かつ透明性をもって集め、使途についても透明性を確保することが重要である。
よって、政治資金規正法を改正し、デジタルデータで政治資金の流れを補足できるようにすることによって政治資金規正法の目指すあるべき姿に近づけていくことを提言したい。
政治資金に関する記録を以下の通り、デジタル化し透明性を図って頂きたい。
(1)政治団体に番号を付与し、政治団体間の収支については番号で管理する。また、収入についてはインボイス番号(法人等)またはマイナンバー(個人)で記録することを義務化する。
(2)政治資金収支報告書はデータで提出することを義務付ける。(総務省がデータベースを準備する)
(3)政治資金パーティ券の支払は金融機関の政治団体口座宛に購入者が直接支払うものとする。
(4)預金データと収支データについては5年間保存する義務を課す。
(5)年間の収入が5,000万円を超える政治団体については登録政治資金監査人による会計監査を義務化する。
(6)政治資金規制法の範囲内でおこなわれ、適正に政治資金収支報告書に記載された(報告書提出後に修正された場合を除く)、政党、議員を代表者とする政治団体間の寄付については適法に行われたものとみなす。
(7)収支報告書の収入未記載が判明したものは、収支報告書訂正と合わせ当該収入額に所得税を課税する。
(8)支出が政治活動以外のものであったことが判明した場合は、当該支出額に所得税を課税する。

お問い合わせ

一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)
事務局 戸島 お問い合わせフォーム

PAGE TOP