小学校の現場からプログラミング教育の実態を知る in 千葉県柏市
~プログラミング教育委員会視察レポート~

2018年2月5日

プログラミング教育委員会では、2020年の初等教育におけるプログラミング教育必須化に向けて、業界としてどう取り組むか、検討を続けています。

今回はプログラミング教育を積極的に推進する、先進的地域において、教育委員会や学校現場の先生はどのように考え、取り組んでいるのかを把握するため、委員長、副委員長および委員の有志と千葉県柏市へ訪問し、意見交換を行いました。(参加9名/5社・団体)

プログラミング教育委員会 学校視察レポート

日時 2018年1月26日(金)13:30~16:30(※終了後、情報交換会実施)
会場 柏市立柏第三小学校

当日のスケジュール

時間 内容
13:30~13:45 ご挨拶・日程説明・移動
13:45~14:30 授業見学
第6学年 理科 「電気の性質とその利用 センサーのプログラミング」
14:30~14:40 (休憩)
14:40~16:40
  • 千葉県柏市におけるプログラミング教育について
  • CSAJプログラミング教育委員会の取組みについて
  • 大阪府高石市教育委員会からの説明
  • 意見交換
17:00~21:00 情報交換会

柏第三小学校で行われているプログラミング教育について

今回は先進的取組み自治体の一つとして、すでに学校でプログラミング教育を導入している千葉県柏市へ訪問、どのようなカリキュラム・体制でプログラミング教育を実施しているか、授業見学と意見交換を実施しました。

視察した授業は6年生の理科で、「電気を無駄なく使うにはどんなことに気をつければ良いのか」をテーマに、いぬボードとScratchを用いてプログラミングを行い、「電気を無駄なく使う」ための方法を考察するといった内容でした。

児童が2名1組でペアを組み、課題「電気を無駄なく使う方法」についてワークシートに記入(明るい時間は消す、外の明るさに応じて光を調節するなど)、その後、考案した節電の方法を実現するためのプログラムについて、Scratchで表示するにはどうすればよいか、ペア同士で相談し、試行錯誤しながら一生懸命に考えていました。

指導者としては担任の先生1名、柏市に所属するICT支援員2名の3名体制で進行、担任の先生は授業進行につとめ、ICT支援員は困っている児童の手助けや、プログラムが完成した児童をチェックし、良かった点などを担任の先生に伝え、担任の先生はICT支援員からの情報を得ながら、完成したプログラムを児童全員に紹介し、一つのパターンではなく、複数の正解事例を見せるというやり方を取っていました。

当日は大阪府高石市教育委員会も視察のため来校されていましたが、授業を見学された方たちは、こういったやり方は自分たちの地域でも実施できるかもしれない、と感じた様子でした。

節電をテーマにプログラミングを学習
2人1組で話し合いながら進めていく
授業で利用するワークシートといぬボード
完成作品の好事例を紹介

柏市教育委員会との意見交換

柏市のプログラミング教育を先導する佐和様

授業見学の後、柏市におけるプログラミング教育について、佐和伸明様(柏市教育委員会 学校教育部 学校教育課 副参事)にご説明いただきました。

お話の中で佐和様は、柏市では、プログラミング的思考は情報リテラシーの一つであり、平成29年度からは、市内42校すべてにプログラミング教育を導入することが決定していること、それに伴い、ICT支援員を増員したこと、カリキュラムについてはCoderDojoをはじめとする企業・民間団体と連携し、素案を作っていることなどを述べました。

とはいえ、学校で教える内容は2時間という短い時間であり、導入でしかない、そのためもっと深い知識を学びたい児童には、NHKのプログラミング教育番組を紹介し、CoderDojoなど地元にあるプログラミングスクールがあることを周知しているということ、そして、保護者や地域の人に対し、プログラミング教育に関する理解を深めるため、地元ショッピングモールでプログラミングのイベントを企画・実施していることなど、取組みをご説明いただきました。

柏市情報リテラシー育成のカリキュラム
パソコン教室に貼りだされたScratchコマンド

柏市におけるプログラミング教育の取組み例

  • ICT支援員の強化
  • 無償で対応可能な地域ボランティアの募集と育成
  • プログラミング教育を実施する専門機関、企業と連携したカリキュラムの策定
  • 地域の理解を深めるため、プログラミング教育に関するイベントを地元ショッピングモールなどで企画・実施
  • アウトプットの場としてプログラミングコンテストを実施

学年ごとに、段階に応じた情報リテラシー育成のためのカリキュラムを用意

学年 内容
1年生 コンピュータの使い方を覚える(ログイン、マウス操作)
2年生 コンピュータの基本的操作を覚え、作品をつくる(文字パレットの文字入力)
3年生 ホームポジションでのローマ字入力ができる(ローマ字入力)
4年生 インターネットによる情報収集・学習と内容をスライドにまとめる
(インターネットによる調べ学習方法と発表資料の作り方)
5年生 プレゼンテーションソフトの使用方法とプレゼンテーション
(パワーポイントの使い方とローマ字入力の極め)
6年生 5年間のスキルを活かしたデジタル作品の制作(6年間でローマ字入力をマスター)
柏市におけるプログラミング教育の流れ
意見交換の様子

視察終了後には柏市教育委員会と教員、ICT支援員を交え、情報交換会を実施、柏を一つの事例として、支援・連携できる仕組みを作っていきたい、といった活発な意見が飛び交いました。

プログラミング教育委員会では、今後も様々な省庁・団体・企業と情報交換を行いながら、教育現場を支援できるようなプラットフォームの構築を目指します。

(事務局)

お問い合わせ

一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)
事務局 若生 E-mail:gyoumu1@csaj.jp
TEL:03-3560-8440

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