レポート:量子コンピュータの基本動作と高速シミュレータQulacsのチュートリアル

2021年10月26日

AI・量子計算技術研究会主催

 AI・量子計算技術研究会では、人工知能と量子コンピュータをテーマにした最新技術動向について調査研究を行い、情報発信を行っています。

 今回のセミナーでは、大阪大学 藤井啓祐氏にご登壇いただき、量子コンピュータの基本的な動作原理から、量子コンピュータで何ができるのか、現在の量子コンピュータはどこまで実現しているのか、などについてご説明いただくほか、大阪大学で開発している高速シミュレータ、Qualcsのチュートリアルと簡単な量子回路についてハンズオンをしながらご紹介いただきました。

 聴講いただいた方からは難解な量子コンピュータをわかりやすく解説いただき、素晴らしかったと好評の声をいただきました。

概要

日 時 2021年9月17日(金) 15:00~16:30
会 場 オンライン(zoomウェビナー予定)
対 象 SAJ会員・一般
参 加 27社/30名

プログラム

15:00~15:05 開会挨拶(5分)

15:05~16:30

「量子コンピュータの基本動作と高速シミュレータQulacsのチュートリアル」

講師:藤井 啓祐 氏
(大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授)

講演概要:
近年、量子コンピュータの実現にむけて、大学や国の研究機関に加えて、GoogleやIBMに代表される巨大IT企業や、新興のベンチャー企業、などが量子コンピュータのハードウェア開発を進めている。2019年には、特定ベンチマーク問題において、量子コンピュータが従来コンピュータよりも高速であること(量子超越性)を示す結果がGoogleから発表され、有用なタスクへと量子コンピュータを応用する取り組みや、量子ソフトウェアの開発が加速している。短期的には、現状のノイズをある程度含む小・中規模の量子コンピュータ(NISQ: noisy intermediate-scale quantum technology)を活用する方法が模索されており、長期的には量子誤り訂正機能を搭載した誤り耐性量子コンピュータの研究が進められている。また、量子コンピュータ実機が現状発展途上であることから、従来コンピュータ上で動作するシミュレータの活用が量子ソフトウェア研究において重要となっている。本講義では、量子コンピュータの現状と基本的な動作原理について詳しく紹介し、その後、我々が開発している高速シミュレータ、Qualcs(※1)のチュートリアルと簡単な量子回路の実行を行う。

※1:Qualcs
量子計算研究のための量子回路の高速シミュレーター。大阪大学 藤井研究室で開発され、ベンチャー企業であるQunaSysが保守・新規機能開発を行う。
C++で書かれているライブラリをPythonインターフェイスを介して呼ぶことによって高速性と利便性を両立している。

講師略歴

藤井 啓祐(ふじい けいすけ) 氏
大阪大学大学院 基礎工学研究科 教授
2011年3月京都大学大学院工学研究科博士課程終了。博士(工学)。2011年4月~2013年3月、大阪大学大学院基礎工学研究科特別研究員。2013年4月~2016年3月、京都大学白眉センター特定助教。2016年4月~2017年9月、東京大学光量子科学研究センター助教。2017年10月~2019年3月、京都大学大学院理学研究科物理学・宇宙物理学専攻、特定准教授。2019年4月から、大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻、教授。大阪大学量子情報・量子生命研究センター副センター長、理化学研究所量子コンピュータ研究センターチームリーダー、情報処理推進機構(IPA)未踏ターゲット事業プログラムマネージャーを兼任。株式会社QunaSys 最高技術顧問。
竹原主査挨拶
藤井先生ご講演の様子
Qulacsハンズオンの様子
竹原主査より藤井先生への質問

お問い合わせ

一般社団法人ソフトウェア協会(SAJ)
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