佐賀市スマート農業視察 終了報告

2019年8月26日

このたびCSAJ農業ICT研究会では、株式会社オプティム様、佐賀県有明海漁業協同組合様、佐賀市バイオマス産業推進課様等にご協力いただき、「佐賀市スマート農業視察」を開催しました。
第一次産業におけるIT・AI活用事例や、SDGsおよび効率化のため、エコシステムの構築を目指した佐賀市の取り組みなど、多岐にわたる聴講・視察を行い、13社・団体/17名の皆様にご参加いただき、盛況の中終了いたしました。

日時 2019年8月1日(木)~2日(金)
参加企業一覧 株式会社インフィニテック、株式会社Information Plus-T、株式会社エイチアイ、株式会社ABI、センターフィールド株式会社、株式会社大和コンピューター、凸版印刷株式会社、トレンドマイクロ株式会社、日本事務器株式会社、株式会社バーズ情報科学研究所、株式会社理経、株式会社USTAGE、CSAJ(13社・17名)

行 程

8月1日
12:30~13:00 集合・移動
13:00~13:40 オプティム社到着・昼食
13:40~15:00 講演:「AI、IoT時代に生きる!~オプティムの挑戦~」
講師:友廣 一雄 氏(株式会社オプティム 取締役 新規事業推進本部)
15:00~16:00 OPTiM Innovation Park見学
16:00~16:20 移動
16:30~17:00 光吉農産 農場ドローン飛行見学
17:00~17:30 移動
17:30~19:30 懇親会:ご馳走まんま 佐賀県佐賀市駅前中央1-8-20
8月2日
8:40~9:00 集合・移動
9:00~10:00 佐賀県有明海漁業協同組合
講演:「佐賀県有明海漁協共同組合 課題と取り組み」
講師:江頭 忠則 氏 (佐賀県有明海漁業協同組合 専務理事)
講師:岩永 和盛 氏 (株式会社オプティム 九州支社)
10:00~10:30 移動
10:30~12:20
  • 佐賀市清掃工場
    1)講演:「バイオマス産業都市さが」
      講師:前田 修二 氏(佐賀市企画調整部バイオマス産業推進課制作推進係 主査 博士(工学))
    2)施設見学:ごみ焼却施設・二酸化炭素分離回収設備
  • 株式会社アルビータ 藻類培養施設見学
12:20~12:50 移動
12:50~13:40 昼食:割烹 津田屋
13:40~13:50 移動
13:50~14:10 オプティムホーク飛行見学
14:10~14:30 移動
14:30~16:00 まえうみ・佐賀城本丸歴史館視察
16:15 佐賀駅着・解散

視察概要

(1)株式会社オプティム社による講演・視察

株式会社オプティム佐賀本店に入ると、オプティムと提携している農場主、池田氏がオーナーを務めるカフェへお通しいただき、視察メンバーを歓迎いただくスクリーンの前でオーナー手作りの昼食をご馳走になりました。

歓迎のスクリーン
ご用意いただいた昼食

講演:「AI、IoT時代に生きる!~オプティムの挑戦~」

中村主査による挨拶

昼食後、友廣一雄様(株式会社オプティム 取締役)より、オプティムの取り組みについてご講演いただきました。
ライセンス販売・保守サポートサービス等通常のビジネスのほか、かつて代表取締役の菅谷俊二氏がお世話になった佐賀に貢献したいという想いと、「世界一AIを実用化させる企業になる」を目標に掲げ、佐賀県を中心に「○○×IT」として、水産、医療、建設、金融、交通など、様々な分野で取り組んできた実証実験とその成果など、ご説明いただきました。

2015年からスタートした農業×ITは、IT活用による効率化によって農家のレベニューを上げるためのビジネスモデルや、ドローンによる夜間ピンポイント農薬散布の様子など、ご説明いただきました。

友廣氏による講演の様子
農家を儲けさせるビジネスモデル

視察:OPTiM Innovation Park

講演後、3つのグループ分かれ、ドローンなどのロボティクス技術の研究開発を行う「ロボティクスラボ」、大学内初の無人店舗であるモノタロウAIストア、○○×ITとして、オプティムやパートナー企業とのサービス・技術を紹介する「AI・IoT・ロボットパビリオン」を見学しました。

ドローンガレージで説明を聞く参加者
モノタロウAIストア
AIストア内の様子
AIで障害物を検知する鉄道模型

(2)視察:光吉農産におけるドローン飛行

その後、光吉農産に移動し、実際に農場で行われているドローン飛行の様子を視察しました。
20m程の高さから、予め登録されている座標軸に沿ってドローンを飛行させ、搭載カメラで撮影、画像がリアルタイムにiPad上に送信されている様子などを視察させていただきました。
ドローンで撮影したデータをクラウド上に集め、画像をオルソ化し、AI解析する事によって、害虫の発生場所を予測、発生ポイントに絞って農薬を散布することで、農薬量を減少させるという仕組みです。

圃場視察の際は16時過ぎではありましたが、35度を超える大変な猛暑の中で行われ、農作物を作る大変さを改めて感じるとともに、高齢化が進む一次産業において、効率化の重要性を感じました。

圃場視察の様子
ドローン撮影画像を確認

(3)懇親会

初日の行程終了後、参加者の皆様で懇親会を実施しました。
今回視察にはじめてご参加頂く方も多く、非常に活発な意見交換がなされていました。

乾杯発声
誕生日の参加者に主査よりメロンを贈呈

(4)講演:佐賀県有明海漁協組合

視察2日目、最初の行程は佐賀県有明海漁協組合に訪問し、江頭忠則様(佐賀県有明海漁協組合 専務理事)に佐賀県のノリ養殖の課題とオプティム社との取り組みについてご講演いただきました。

江頭専務からは国内および佐賀における海苔生産の実態とノリ養殖における課題として、病害・赤潮対策における目視確認などの手間、養殖業者の高齢化や社会的背景の影響を受け、40年間で海苔需要・経営体制が縮小傾向にあることを上げ、課題解決の一つとして、IT活用による生産性効率を目的に、オプティム社をはじめとする6者間で実証実験をしている旨ご説明いただきました。

続いて、岩永和盛様(株式会社オプティム 九州支社)からは、オプティムホークによる空撮から、赤潮や病害の事前検知する実証実験の状況についてご説明いただきました。現段階では、潮の環境は日々・時間帯等で変化し、かつ同環境ではないため、オルソ化した画像データの集積が困難であるといった課題があること、しかし今後の映像技術の向上や通信制限の緩和によって精度が高まり、検知が可能となることを期待しているなど、述べられました。

江頭専務による講演
オプティムと漁協との取り組み

佐賀県有明海漁協組合前で集合写真

(5)佐賀市清掃工場 二酸化炭素分離回収設備

次に、佐賀市清掃工場に移動し、佐賀市バイオマス都市構想について、前田修二様(佐賀市企画調整部バイオマス産業推進課制作推進係主査)にご講演いただき、ごみ焼却施設における二酸化炭素分離設備とバイオマス資源を活用した藻類培養施設を運営する株式会社アルビータ様をご案内いただきました。

講演では、佐賀市において、平成の市町村合併に伴い、ごみ焼却施設を1箇所に集約し、運営費用削減と効率化を行う必要があったこと、その際、住民への理解を得て、清掃工場のマイナスイメージをプラスへと転換させるべく、バイオマス都市構想をスタートさせ、ごみ焼却施設からの二酸化炭素や下水処理施設の汚泥利用等から農作物を生産する付加価値の新設とそれに伴う企業誘致や、市内に拠点を置く企業同士のアライアンス事例をご説明いただきました。

近年では、唐津市、玄海町やオランダなど市外・国外などとも連携し、さらなるバイオマス都市構想の発展と成長のため、取り組みを行っていることなどもご説明いただきました。

前田主査による講演
エネルギー創出の仕組みを解説
小中学校にも常設される地産地消推移モニタ
二酸化炭素分離回収設備の仕組み
アルビータ社藻類培養施設
清掃工場前で記念撮影

(6)オプティムホーク飛行視察

続いて、オプティムホークの飛行場所に移動し、1時間程度の長時間飛行が可能という、オプティムホーク飛行の様子を視察しました。

離陸から着陸までの様子や、自動車に搭載されたアンテナを介して、PC上にホークの飛行データが送信され、リアルタイムで高度・速度などの飛行データと、ホークから撮影された映像が転送、記録されている様子など、見学させていただきました。しかし、一方で、ドローン飛行にあたっての通信・高度制限や、目視での確認が必須のため、それによる人員配置のコスト増など、国内の法制限による課題についてもご説明いただきました。

中村主査が離陸をアシスト
飛行データをPCで確認

オプティムホークとともに記念撮影

(7)佐賀城本丸歴史館

佐賀城視察の様子

最後に、佐賀の歴史を学ぶべく佐賀城本丸歴史館を視察、幕末期に軍防と西洋医学、質素倹約によって藩財政を再建した藩主鍋島直正の生涯を学ぶとともに、復元された佐賀城本丸を見学し、佐賀スマート農業視察を終了しました。

最後に、本視察実施にあたって、ご協力いただきました企業・自治体の皆様には、改めて御礼申し上げます。

また、ご参加いただきました皆様におかれましても、猛暑の中、屋外の視察も数多くありましたが、お蔭様で2日間全行程が無事に終了できましたこと、あらためて感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

(事務局)

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