ニューヨークだより 2018年8月
「米国行政における電子化(デジタルガバメント)及びクラウド活用の現状」
省庁・団体名
JETRO/IPA NewYork
内容
米国では、国民にとって利便性の高い行政サービスの提供のため、連邦政府において、デジタルガバメントの取組みが推進されている。
特徴として、
- 政府外からの優秀な人材の登用やクラウド化(FedRAMP)の推進(自前主義からの脱却)
- ヘルスケアや退役軍人向けプログラムなど、ニーズの高い分野において個別具体的なサービスを提供
- ユーザーの使いやすさを重視
が挙げられる。
具体例として、近年創設された以下の組織/プログラム及びその下で行われているプロジェクトを取り上げた。
- 大統領イノベーション・フェローズ(PIF)プログラム(2012年8月創設):数カ月の短期間で政府の重点ITプロジェクトにおけるイノベーションの実現を目指す
- 18F(2014年3月創設):各政府機関にリーン・スタートアップ(lean startup)の実践手法を教授
- 米国デジタルサービス(USDS)(2014年8月創設):大統領の掲げる主要政策の実現のため、大幅な指揮の方向転換が必要な政府のITプロジェクトに介入し、トップダウンで指導する
- 米テクノロジー評議会(ATC)(2017年5月創設):各政府機関によるデジタルサービスの構想、戦略、方向性の調整
州政府については、「デジタル州政府調査(Digital States Survey)」において最も優れたデジタルガバメントの取組みを継続的に行っていると評価されているミシガン州を取り上げた。
- 知事によるリーダーシップ
- 連邦政府レベルのITインフラ近代化プロジェクト経験者の同州CIOへの任命
- ITプロジェクトの策定
- 複数年にまたがる継続予算
- 同州のあらゆる行政サービスの提供を目指すモバイルアプリケーション「MiPage」の開発
が特徴として挙げられる。
日本においては、日本政府が、今秋、国・地方団体における行政手続きの完全電子化を実現するための「デジタルファースト法案(仮称)」を国会に提出する方針を示している。同法案においては、容易な電子認証手段を確立やあらゆる行政手続きのオンライン・ワンストップ化が期待される。英米両国の例に倣って、制度設計や関連施策を推進する担当者(組織)に民間人材の起用を求める声もある。日本型デジタルガバメント政策を推進する上で、市民や企業等のユーザーの使いやすさを重視したサービスの実現が期待される。
(参考)米国における電子政府・行政サービスに関する取り組みの現状(2016年7月)
詳細
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Kiyoshi Nakazawa (中沢潔)
JETRO New York (Representative office of IPA)
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