組込みソフトウェア産業の動向把握等に関する調査結果を公開

2017年5月10日

省庁・団体名

独立行政法人情報処理推進機構

内容

概要

 独立行政法人情報処理推進機構 技術本部 ソフトウェア高信頼化センター(以下、IPA/SEC)は、組込みソフトウェア産業の動向把握等に関する調査結果を公開しました。

調査の背景と狙い

 IoT(Internet of Things)時代の到来により、デバイス、家電、自動車、工場の設備といった社会環境を構成するシステムが、ネットワークに接続され、利用環境や使われ方も大きく変化してきています。現在、社会環境の安全や利便性、効率性などの機能は、機器に搭載される「組込みソフトウェア」により実現されるようになってきており、組込みソフトウェアの開発能力の強化や人材の確保が重要な課題となってきています。
 このような状況の下、IPA/SECでは、組込みソフトウェア産業の実態や課題を把握するとともに、今後、取り組むべき施策の立案に活用することを目的に、アンケートおよびヒアリングによる調査を実施しました。具体的な調査方法は以下のとおりです。

アンケート調査の主な目的 組込みソフトウェア産業における開発の品質・開発技術・人材育成状況などについて、マクロな傾向性を把握する
ヒアリング調査の主な目的 組込みソフトウェア産業における、課題、先進的な取組み、解決策などについて、踏込んだ検討を行う
アンケート期間 2016年11月~2017年2月
配布数 2,000部
有効回答者数 177件
アンケート対象者 組込み関連企業の経営層または事業部門責任者

 調査内容から分かった現状と課題 「組込みソフトウェア開発の課題」として筆頭にあがったのは「設計品質の向上」です。このための解決策としては、「技術者のスキル向上」「PMのスキル向上」が挙げられており、人材の確保やスキルの明確化に関連した課題が多く寄せられていると考えられます。また、IoT、ビッグデータ、AIも含めた「技術トレンドへの対応」を課題として挙げられた企業が多く、近年のIoTの進展に伴い、現場でも対応が迫られていることがうかがえます。
 また「つながる状況下でのビジネス上の課題」は、従業員数100人未満の小規模企業と、それ以上の企業とで明確な違いが浮き彫りになりました。
 両者とも課題のトップに「ビジネスモデルの構築が難しい」を挙げたものの、小規模企業では2番目に「新規投資が難しい」を挙げています。一方、従業員数100人以上の企業では、「つながる他産業・他分野の文化や技術の理解が難しい」、「関係する規格への適合、認証取得が難しい」を多く挙げた企業が目立ちました。これらの項目は、企業全体、あるいは企業グループで一括して行っている取り組みであり、従業員100人以上の企業で課題として挙げる企業が多い反面、従業員100人未満の企業では、新規投資、ビジネスマッチングの強化といったユニット単位で行う事業で直面する取り組みが、より課題意識として挙げられたことがうかがえます。
 現時点で重要な技術と今後強化/習得したい技術の対比では、ビッグデータやAI技術は企業規模によらず短期・長期的に重要な課題と認識する企業が多かったのですが、「セーフティおよびセキュリティ技術」「モデリング技術」は、中小企業よりも大企業でより喫緊の課題として認識されている一方で、システムズエンジニアリング、アジャイルについて、より長期的な課題として認識する大企業が多かったことがうかがえます。これらは、現在、あるいは将来の技術的課題として、大企業と中小企業の温度差を知ることができる項目とも言えます。

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(アンケート入力後にダウンロードのリンクが表示されます)

公表日

2017年5月2日(金)

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