「専務のツブヤキ」
~CSAJの新たな出発、半導体・デジタル産業戦略と就職氷河期人材への支援~

2021年6月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

(CSAJの新たな出発)

 6月9日に定時総会で、いよいよCSAJの新たなビジョン、及び7月1日からの協会名称の変更が決まりました。新たなビジョンでは、皆様もご承知の通り、世の中、 IoTの時代となり、コンピュータに限らずあらゆるモノがネットで繋がりソフトウェアで動いている こと、また、 人工知能(最も尖がったソフトウェア) がビッグデータを分析して新たな付加価値を生み出す DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代となり、ソフトウェアの重要性がますます重要 となっていることから、7月1日より、コンピュータソフトウェア協会からコンピュータを取り、『 一般社団法人ソフトウェア協会 』( S oftware A ssociation of J apan)となり、略称もCSAJからCが取れて『 SAJ 』としました。

 AIの話も出ましたが、総会と同時に開催された東大の松尾先生の講演ではAIとDXの関係が話されました。人材育成では2017年に『日本ディープラーニング協会(JDLA)』を設立されて、ディープラーニングの検定制度(G検定、E検定、AI for Everyone)を創設したことや高専の学生達が提案したディープラーニングを使った製品をVC(ベンチャーキャピタル)に評価してもらい1~3位の製品には5億円の企業価値が付けられたことなどがご紹介されました。当協会の新たなメッセージは、Software Everywhereですが、時代はさらに先を行って AI Everywhere  かな?と思った次第です。彼によれば、これの行きつく先は、 人すべてにIDが付与 され、それによって 個人情報とあらゆるデータが紐づけ され、結果的にサプライサイドとデマンドサイドが今以上に近づいて、結局、 個人としてこれまで諦めていたあらゆることが早くかつ安く実現し、新たな価値創造社会が到来 しそうとのことでした。つくづく、 AI(<Software)×Data=価値創造 なんだなあと思った次第です。

(半導体・デジタル産業戦略)

 経済産業省でも、6月4日に 半導体・デジタル産業戦略 の要点が公表されました。これを見ると、半導体については、我が国が強みを持つ、メモリ、センサー、パワー、マイコンのそれぞれについて、 重要な半導体製造拠点の担い手とターゲットを見定め、大胆な刷新 を進めるとともに、世界の 半導体エコシステム/サプライチェーンを支える製造装置・材料分野 について、海外ファウンドリーとの共同技術開発等を通じて、 チョークポイント(戦略的に重要)技術を磨き上げる こととしています。デジタル化については、そのインフラであるデータセンターについて、国内での新規立地を進めるため、大規模なデータセンター集積地を整備すべく、今後、(1) データセンター集積地の要件整理 (電力・通信インフラ整備状況、災害リスク、交通、都市部からの距離など)、(2)候補地選定の進め方なども含めた 立地計画を策定 、(3)必要に応じ、土地の造成や各種インフラ整備など、 データセンター立地を促進する基盤整備を政府が支援 することとしています。

(就職氷河期人材への支援)

 総会では、現在厚生労働省の支援で行っている就職氷河期世代( 35歳~54歳の非正規の方々 )の方向けの訓練( IT関係資格取得※ )と就職支援についても触れさせて頂きました。雇用環境が、新型コロナの感染拡大によって、事業を立ち上げた当初とその後では180度変わってしまい、CSAJとしても大変戸惑い且つ苦労しているところですが、ベースとしてIT業界の人手不足は続いていることには変わりないと思っています。実際、年齢的なハンディーにもかかわらず、 第2期の訓練生のうちこれまで20名程度がなんとか就職 できました。採用した経営者に聞いてみると、本来一人当たり 100万円程度の訓練コストが節約 できた、就職氷河期に採用を絞っていたので 歪な年齢構成の是正 ができる、IT業界以外の 多様な業界の方が採用できる との話もありました。6月25日には厚生労働省の担当室長補佐もご挨拶して頂き、3回目の「IT人材不足対策セミナー」を開催しますが、これら資格取得者は貴重なIT人材ですので、是非 採用にご関心の経営者の方は以下のCSAJのサイトよりセミナーのお申し込み を頂ければと思います。

https://www.csaj.jp/NEWS/activity/itcareerup/itcareerup_seminar_3.html

※IT検証技術者認定試験レベル1、情報ネットワークセキュリティ検定1級又はCCNA

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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