「専務のツブヤキ」
~コロナ禍の経済とU-22プログラミングコンテストなど~

2020年12月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 米国の大統領もついにバイデン氏に決まり、政権移行チームも動きだしたようです。また、コロナワクチンの治験の結果が上々とのこと、このコラムが出る頃には、欧米でワクチンの接種が始まっていることでしょう。今回のワクチンは、 mRNA(メッセンジャーRNA)で疑似ウイルスを作り、それで騙して抗体を体内に形成する方法 のようです。これでワクチンが早く出来て有効性も90%以上というのは数字だけ聞けば凄そうな気がしますが、ウィルスは変異を繰り返すためインフルエンザのワクチンの有効性は50%位なのに、本当でしょうか?という気がしています。

 また、mRNAに騙されてできた抗体がどれほどの期間、効果を持続できるのでしょうか。実は、友人の娘さんが研修医で某国立大学病院でコロナ感染者第1号(味覚がなくなる以外は無症状)となりニュースにもなったのですが、 2か月後には抗体量が半分以下 になっていたと聞きました。実際に感染して出来た抗体でさえすぐ減少してしまうのに、そんなにワクチンに期待してよいのでしょうか?最近のニュースによれば、重症だった方の中和抗体は陽性度が強いものの、 無症状だった方や軽症だった方の抗体の陽性度は弱い傾向 にあるようです。そうすると ワクチンを打った方の大半は副作用が出ない限りは無症状者と同じなので陽性度は弱いのではないか と思ってしまいます。結局インフルエンザのように タミフルのような特効薬ができないかぎり我々はwithコロナであり続けるのではないでしょうか

 ただ、マーケットはワクチンの有効性が90%以上というだけで、半年後にはワクチンが全世界に行渡り通常の経済活動に戻ることをおり込んでいるかのように日米欧とも株が爆上がりです。アベノミクスの時でさえ日経平均のPER(株価収益率)は12~16倍でしたが、現在は PERが25倍前後に達しており、私的には明らかにバブル(異常) としか思えません でも、今や東証も外国人投資家が8割以上の売買を占めていますので、米国FRB、欧州ECBなどの金融当局が空前絶後の金融緩和を行って海外の余ったマネーが一気に日本市場に流れ込んでいるようです。でも ワクチン関する悪いニュースが伝われば(意外と早く)調整又は反動が来るのではないか (目安は日経平均で2万2~3千円【=PBR(純資産倍率)1倍】か?)と心配にもなります。 私的にはこれから年度末までに3万円まで上がる確率とPBR1倍まで下がる確率のどちらが高いかというと後者のような気がしている のですが、、、

 次に、11月29日、オンラインでU-22プログラミングコンテストの最終審査が行われました。経済産業大臣賞(4部門)は、総合部門が東京医科大学の学生(元経済産業大臣賞受賞経験者)が作成した「 AIを用いた自動車運転能力測定装置 」でした。これは、高齢者の自動車事故防止を目的に研究に1年程度かけている力作で圧巻の完成度でした。AIを使って被験者の瞳孔の動きから加齢による衰えを見える化することにより高齢者の運転免許証の自主返納などを促していこうというもので、自動車保険会社などでもリスク評価に使えるかもしれません。また、テクノロジー部門では「 3密チェッカー 」はコロナ禍で3密状態か否かを事前に教えてくれるアプリで、既にマスコミ等でも紹介されている優れモノでした。この他、プロダクト部門では 健常者にも「点字」に触れてほしい という想いから、9歳から「点字」に関連する作品を制作し続けた「 点体望遠鏡 」、アイデア部門では自分の経験から譜読みの難しさと音符入力の煩雑さを軽減するため、独学でAIを学んだ「deepMusa」がそれぞれ受賞いたしました。いずれにしろ、最終審査に残った作品はいずれも社会課題の解決を目指したものが多かったという印象でした。

 最後になりましたが、11月27日に当協会から推薦した サイボウズ株式会社様が新型コロナにITを通じて大きな功績を上げたということで情報化月間の経済産業大臣賞を受賞 されました。心よりお慶び申し上げます。今年は、コロナ禍で大変な一年でしたが、会員各社の皆様が良いお年を迎えられることを祈念して今年のコラムを締め括らせて頂きます。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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