「専務のツブヤキ」
~政府の動向、米中間選挙と日米経済、CEATEC、プロコン~

2018年11月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 先週、予備費で賄えない災害対策の追加予算として第1次補正予算が成立しました。今後は、国土強靭化(及びイノベーション?)が中心となるであろう 第2次補正予算の内容、特にCSAJとしては、IT導入補助金、データセンターの非常用電源の確保などに注視 していきたいと思っております。また、現在、議員立法で「 デジタル化促進法案 」が臨時国会に提出されています。同法案は基本法であり、政府に対する措置が中心ですが、民間部分は今後どうなるでしょうか?デジタルトランスフォーメーションへの対応が中心になると思うのですが、そうなると データの管理が重要 となってきます。今後、各省庁の個別法でその辺のところがどのように措置されていくかも目が離せません。最近、経済産業省がキャッシュレス化と絡めて 消費税対策として2%分のポイント還元 を提案しています。キャッシュレス化が進めば、国は増税に加え補足率が上がりさらに税収増が期待できます。事業者は現金を扱う手間の合理化に加え、ポイント還元は増税による消費の落ち込みも緩和し、大助かりです。国民は消費税の値上げ分がポイント還元されるのですから大歓迎でしょう。 端末機器の整備が間に合うかなど問題は山積みの様ですが、今後この成り行きを暖かく見守っていきたい と思っています。

 11月が早々に米国の中間選挙でした。結果は、上院は共和党、下院は民主党の勝利で終わり、大方の予想通りでした。今後、日米の経済、貿易にはどのような影響があるか、専門家の意見も分かれていますが、とにかく日米とも株価は不確定要因がなくなったとの一点で一時的には上昇しました。私的には、米中貿易戦争はありますが想定の範囲内ですし、 消去法的に日本の株価は年末までに意外と上がるのではないか と思っています。米国はFOMCが12月もFFレートを上げるでしょうから長期金利も上がりますし、景気後退のリスクが出てきましたので株価には向かい風です。欧州も中銀は引き締めに入っていますし、イタリアの問題や英国のEU離脱、ドイツのメルケル政権のレイムダック化など燻ぶっていますので、株価は上昇しにくいと思われます。新興国はドル高で米国に資金が流れており向かい風です。そうなると、日本は安倍政権は安定していますし、今後、2次補正予算もありますので、年末までの短期で見るとヘッジファンドなどは株への投資なら日本という風になるのではないでしょうか。 あくまでも少数意見であり、希望的観測ですが、、、

 JEITA様及びCIAJ様とともにCSAJが共催している CEATEC JAPAN 2018が10月16~19日に開催され、お陰様で4日間の総計で15万6千人(前年比4千人増)の方にご来場 いただきました。特に、今年は臨時国会が開催されていなかったせいか、 世耕経済産業大臣がオープニングレセプション(15日)のみならず、展示会場(16日)にもお越し になり、マスコミ等にも大いに注目されました。3年前から主要テーマを家電からIoTにシフトし、小松製作所、ファナック、トヨタなどの企業が出展するなど展示内容も様変わりですが、毎年順調に来場者が増加しており、 IoTの展示会という地位がすっかり定着 した感があります。来年は、CEATECの直後から東京モーターショーが開催されることから、自動運転などIoTを絡めて色々協力することになりそうですので、ますます盛り上がることになると思います。

 また、10月後半はCSAJが主催するU-22プログラミングコンテストが応募総数460作品と過去最大規模で開催されました。ゲーム作品が半分以上を占め、最終選考に残った16作品中11作品がゲームとなりました。審査委員の末席にいた印象を申し上げると、 ゲームというのは基本的に何の制約・前提条件なしに、自分の思い付いたアイデアで好きなものを好きなようにプログラム出来ることが、最近のゲーム作品の増加に関係 している気がします。私は高専プロコンの課題部門の審査委員もしているのですが、テーマが地域の活性化でした。プログラムを作成するにはユーザーのニーズを調査し、色々な制約条件に配慮して作品を仕上げる必要があります。自分の思い付いたアイデアがユーザーのニーズにマッチするとは限りませんので、プログラマーの自己満足だけでは作品に出来ません。思いっきり好きなプログラムを自由に組めるゲームは、自己満足かもしれませんが、さぞプログラムは楽しかったことと想像に難くありません。また、U-22では、なんと 2名の小学生が経済産業大臣賞を受賞 しました。2020年から小学校でプログラミング教育が必修化される予定ですが、最近本屋に行くと、小学生向けのプログラミング関係のコーナーができていました。U-22もそうですが、 プログラミング教育のすそ野が確実に広がっていることを実感 した次第です。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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