「専務のツブヤキ」
~テレワークとホワイトカラーの生産性とは? 肝は「報連相」か~

2017年9月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 今回は政府予算の概算要求についてと思ったのですが、大体、新聞に出ている通りですし、今年は本予算よりも補正予算、税制の方が重要になりそうですので、時期が来れば改めてそれらについては触れたいと思います。
 ということで、今回はサブタイトル通り、別のテーマでツブヤキたいと思います。CSAJでは、 7月よりテレワークを本格的に導入 しています。目標は、7~10月の4か月間で週1回以上、全体で延べ160回以上(対象者9名)のテレワーク@自宅(途中外出可)を実施する予定ですが、7~8月はこの目標達成に向かって順調のようです。本目標を達成すると、 テレワーク協会からもテレワーク導入にかかるコスト(携帯の内線化や大型モニター等の導入費用)を補助 してもらえるとのこと。また、月に一度、労使間でテレワークに関する話し合い(以下「レビュー会議」)も行っていますが、概ね上手くいっているとのことでした。レビュー会議では、 毎回事前にテレワーク当日の仕事の段取りをつけて計画を作ることが案外作業の効率化に役立っている 、また、私のように家内が専業主婦ですとテレワークで自宅にいると不評を買うのですが、CSAJの場合、独身や現在子育てが無い、共稼ぎの方が多いようで、自宅は昼間 一人になって集中して作業 ができ、テレワークの効果をあげているようです。レビュー会議では テレワークの導入でむしろ個々人の作業効率は上がっている との前向きな発言が多いようでした。その意味では 各人の残業時間が減ることも期待できそう ですが、実際に残業削減面でも成果が報告されています。
 また、今回のテレワーク導入に当たり、職員の携帯電話が内線化されましたので、電話がかかってきても、部屋内の大型モニターに映ったテレワーカーにskypeで呼び掛けて、「〇〇さん、□□様から電話です。電話(内線)を回しますのでお願いします。」といえば、外部の方はその人が事務所内にいる思い込んだままです。所内の会議・打合せもskypeで普通に会話できますので、テレワークしていても全く支障無いようです。
 ただ、CSAJのような ホワイトカラー業務において(本質的な)生産性とは何だろうか と思う次第です。例えば工場において生産性とは、如何に工場ライン内の仕掛品や不良品を少なくして、効率よく良品を造るかです。そのための典型的な仕組みがトヨタに代表される「カンバン方式」と言えます。それでは、ホワイトカラー業務の場合の仕掛品とは何でしょうか?私は未決書類ではないかと思います。役所で仕事をしていると未決書類を山のように積み上げている人を時々見ましたが、この人のおかげで、どれだけ業務が停滞しているんだろうか?、この書類を早く回せばどんなに生産性が上がることか?と思っていました。つまり、ホワイトカラーの生産性とは 意思決定(決裁)のスピード ではないかと私は考えます。そうすると、 テレワークによる各人の作業効率のアップに加え、その前後の上司や関係者とやりとり、即ち「報連相(報告・連絡・相談)」に尽きると思いますが、それがスムーズに行われることが業務全体の生産性の本質的な向上にとってかなり重要 になってくるのではないでしょうか。
 CSAJの業務は、自分の作業だけで終わる仕事は限られており、大部分は上司や関係者との協議や確認(決裁)の必要な業務ばかりですので、 「報連相」をしっかりやって、出来る限り速やか且つ正しい意思決定(良品)を行うことこそが、CSAJにとっての本質的な生産性の向上 ということだと考える次第です。
 それでは、「報連相」において重要なことは何でしょうか。

  1. 報告:報告の優先順位です。(当たり前のことですが、) 重要なことから報告 すること。一般的には起承転結で言うと結(結論)かと思います
  2. 連絡:(当たり前のことですが) 重要なことは伝えるべき相手に確実に伝えること 。これができずに出世を棒に振ったサラリーマンが如何に多いかという気がします。大事な連絡をメールだけで済まして、確認せずに、結局相手に伝わっておらず仕事でミスることがないようにしたいものです。
  3. 相談:相談はタイミングが重要です。 遅すぎるタイミングでの相談は無意味です 。そのためには、 途中経過等の小まめな連絡・報告が肝要 ではないかと思います。

 以上が、テレワークに加え、私的に重視している生産性向上策ですが如何でしょうか?

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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