「愛と繁栄を実現する経営改革」ワクワクドキドキする経営~ドラッカーとウェルチ~

2018年6月1日

CSAJ 監事 公認会計士 戦略経営コンサルタント 山田隆明

 「もしドラ」が社会現象になったあのドラッカーが、ゼネラルエレクトリック(GE)のコンサルティングに携わったときのことです。彼は、当時のGEのCEOだったジャック・ウェルチに、「世界で一位か二位になるつもりの事業だけを残して、あとはすべて捨てたらどうか」とアドバイスしたそうです。「本当にやる価値があると考える事業だけにヒトやカネを投入すべきだ」と。そのおかげで、傾きかけていたGEは一転して急成長を遂げたとのことです。これが一般に「一位二位戦略」として知られている話です。
 しかし後になって、伝えられている表現とは少し違った言葉のニュアンスがあったことが明らかになりました。その話が「NHK100分de名著2011年6月「ドラッカー「マネジメント」上田惇生」」p36-p39にあるので引用します。すなわち、ドラッカーは「ワクワクドキドキしてやっている事業以外は、すべて止めたらどうだろう」と言ったというのです。つまり彼は「本気で取り組む仕事は、ワクワクしていてしかるべきであって、そうでないものには取り組むべきではない」と考えていたのです。さらに「ワクワクしながら、意気込みを持ってやるような仕事でなければ、お客に対して失礼だ。そうでないものは思い切って止めてしまうか、その仕事を熱意をもってやるところとコラボレートしたほうがいい。」とまで言ったそうです。
 いかにもドラッカーらしい話です。彼は「働くことは喜びや自己実現に繋がっていくべきもの」という考えを常に持っていました。マネジメントの一番目の役割である「自らの組織に特有の使命を果たす」という彼の言葉には、単に”本業を真面目にこなせ”という意味だけでなく、”喜びを感じながらやる仕事こそ本業とすべし”という意味が含まれていると考えていいでしょう。(以上引用)
 私は、上記のテレビ番組に先立って上田惇生先生からこの話をナマで聞いたのですが、その時の感動をいまでも鮮明に覚えています。この時を境に、経営に対する”ツラくて苦しいもの”というイメージが一転しました。以後は企業経営者を見るとき、”この人はワクワクしながら経営をやっているかどうか”との視点を持つようになりました。そうして見ていると、成功した経営者は結構ワクワクドキドキ楽しんでやっていることに気付きました。
 「この会社をどういう会社に導いて行くか」との”経営戦略シナリオ”を経営者自身で描いてみて、その「描いたシナリオどおりにうまく行った姿」を見るのが”会社経営の醍醐味”です。そういう経営者は、「ワクワクしながら経営している」はずだからです。
 私は税務業務を卒業して、これからは「ワクワク経営」を推進するコンサルタントとして、経営者といっしょにシナリオを描き、シナリオの達成に向けていっしょに尽力してまいります。

○今回から、会計事務所から経営コンサルタントへとメイン業務移行のため、本コラム中の私の肩書を”戦略経営コンサルタント 公認会計士”へと改めております。


(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
山田経営会計事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ

山田 隆明Twitter

1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテックで基幹システムの営業を10年勤めた後、公認会計士に。
監査法人勤務を経て、独立会計事務所所長も。
現在:戦略経営コンサルタント、わくわく経営株式会社(設立中) 代表取締役。
コンサルティング内容:経営戦略・経営計画 (本コラムに書いてきた内容)
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。

PAGE TOP