「愛と繁栄を実現する経営改革」失敗するパターン

2016年5月1日

CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明

 これまでは失敗する経営パターンについて説明してきました。
まとめると次の5点です。
<失敗するパターン>

  1. コスト削減を図ると会社はうまくいかない。
    =削減すべきはコストでなくムダである。
    =さらには、支出を減らすよりも収入を増やすよう顧客の方を向くべき。
  2. 利益を追求すると利益は増えない。
    =追求すべきはお客様の利益であって、自社の利益ではない。
    お客様の利益になれば、結果として自社の利益にもなる。
  3. 経済取引の本質の誤解。
    =取引が成立するということは、売り手はもちろんだが、買い手も自分の利益になると判断したからである。
  4. 弱み克服なんてどだいムリ。
    =強みを伸ばすべき。
  5. おカネを捨てるな!
    =誤った節税対策、銀行対策、新規事業はおカネを捨てているだけ。

結論は、「これら失敗パターンをやらなければ成功する」ということです。

<成功するパターン>
 加えて、より積極的に「こうやれば成功する」方法をご紹介します。
私がこれまで多くのいろいろな経営者を見てきた結果、
次の4つをきちんと回している経営者はみなさん成功しています。(逆は必ずしも正しくないですが。)

  1. お客様のニーズと自社の強みをもとに、売上金額の目標を立てる。そこから必要な費用予想額を引いて利益目標を立てる。この売上と利益の目標数字を頭に入れておく。
  2. 進捗状況を逐次数字で把握する。
  3. 目標と実績の差額の原因を把握する。
  4. このまま行くと期末はどうなるか、常に対策を考え着実に実行する。

 こう言うと「なんだそんなことか」「あたりまえじゃないか」などとおっしゃるでしょうが、経営というものは、当たり前のことを当たり前にやっていればうまくいくものです。
 とはいえ若干補足します。
 彼らは、計画を作るにあたって、まず顧客ニーズと自社の強みを調べます。とりわけ成功する経営者は、自分でお客様を回って声を集めます。
こうして計画を作りますが、この顧客側に立った数字が必ずしも自社の採算に合う保証はありません。そこでつぎに採算が合うかどうかをチェックします。合わなければ何回も修正を重ねます。
 彼らはこのように大変な労力をかけて計画を作り上げます。苦労して作った数字だからこそ自然に頭に入ります。そして進捗状況も気になります。だからこそ進捗数字も自然に頭に入ります。
さらには、「なぜ計画よりショートしたか?」、「どうすれば挽回できるか?」を常に考えるようになります。最後は考え付いた対策を着実に実行に移します。
これなら成功するのは当然でしょう。
 こういう経営者は、私の方から質問しなくても向こうから今期の状況を説明してくださいます。「今期はこれこれが売れそうだからこれこれに力を入れているよ。先月までの進捗状況はこんな具合で計画よりこれだけショートしているが、これからの○か月間でこれこれの対策をしてカバーするつもりだ。もし今期がダメでも来期になればあれが出てくるから挽回できる・・・」などと。
彼らを見ていると、ヒト・モノ・カネのすべてを自分の想いのままに操っているようで、まさに楽しくてたまらなく見えます。

 しかし考えてみると、これは成功した経営者だけでなくても、ノルマを与えられた営業マンならだれでもやっていることです。
駆出しの営業マンでもやっていることが経営者にできないはずはありません。要はヤル気の問題だけです。
違うのは、営業マンは自分で計画を作るのではなく会社から与えられるのに対し、経営者は自分で作る点です。自分で作れば、手間はかかりますが自分の想いどおりにやれます。その方がモチベーションが上がるのは当然です。
要は自分の手で計画を書くことです。お客様の声を聞くことです。そうすれば経営が楽しくなるでしょう。

(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ

山田 隆明Twitter

1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。

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