レポート:持続可能な水産業
~ITによる「海の見える化」で、海の豊かさを守る~

2022年3月14日

スマート水産業研究会 主催

 スマート水産業研究会では、講師として和田 雅昭氏(公立はこだて未来大学 教授)を招聘し、スマート水産業の推進によるSDGsやカーボンニュートラルの社会実現について考えるために、セミナーを開催いたしました。

 大学卒業後、企業でプログラマーとして全自動イカ釣り機のプログラム開発を担当していたという和田氏。
 次第に地球温暖化や乱獲により次第にイカやホタテの漁獲量が低下していくなかで、いくら機械の性能を向上させたとしても、環境に配慮していかないと資源の枯渇に繋がってしまうのを危惧し、世の中に海洋の現状を情報発信していこうと思ったのが学者になられたきっかけとのことでした。

 2019年に水産庁がスマート水産業を推進する以前より、和田教授は「マリンIT」と称し、海水温観測ブイや魚群探知機の導入や、漁獲・位置情報の共有による海の見える化(可視化)について取り組んでこられました。

 今回は世界で最も自動化された漁法と言われている「いか釣漁業」や沿岸漁業の生産の約4割を占める伝統漁法「定置網漁業」の事例に焦点をあて、海の見える化による漁獲効率化(=燃料消費の削減や人件費削減)がどのようにカーボンニュートラルや海洋資源の持続に繋がっていくのかという点について紹介いただきました。

 聴講者からは、「持続可能な水産業へのアプローチについて、社会情勢、行動変容等々の未来想像など10年後からバックキャスティングすることで、より身近に感じられることが出来ました。また、漁業者等のITリテラシーが低いと思われがちな方々へ、スマート化へ取り組む意義を寄り添いながらアプローチしている点についてもとても参考になりました。」といった好評なお声を頂きました。

セミナー概要

日時 2022年2月4日(金) 13:30~15:00
会場 オンライン開催(Zoomウェビナー)
対象 SAJ会員限定/水産業・一次産業、IoT、データ活用等に興味のある方、新ビジネスを企画検討中の方など
参加 21社33名

プログラム

13:30~13:33
ご挨拶 主査:田中 啓一(日本事務器株式会社 代表取締役社長)
13:33~15:00

持続可能な水産業

講師:和田 雅昭 氏(公立はこだて未来大学 教授)

講演概要:
世界の関心がカーボンニュートラルに向かうなかで、10年を待たずして魚介藻類をはじめとする食卓に並ぶ食材が、どのように生産されたのか、どのように流通してきたのか、そして、それらの過程においてどの程度の環境負荷を与えたのか、といった視点を消費者は持つようになると考えらえます。スマート水産業の推進によるムダの削減は、SDGsの達成や脱炭素社会の実現につながる取り組みでもあります。本講演では、水産業での生産と流通におけるムダの削減について説明いただきました。

講師経歴

和田 雅昭(わだ まさあき)氏
公立はこだて未来大学 教授
博士(水産科学)
1993年、北海道大学水産学部を卒業後、機械化による沿岸漁業の支援に従事するため、株式会社東和電機製作所に入社。2005年、情報化による沿岸漁業の支援に従事するため、公立はこだて未来大学に着任。以降、マリンIT・ラボ所長として、北海道留萌市におけるマナマコの資源管理など、全国の研究者、漁業者とともに持続可能な水産業に取り組んでいる。また、総務省地域情報化アドバイザー、水産庁スマート水産業研究会連携基盤ワーキングチーム長として、スマート水産業を推進している。
田中主査ご挨拶の様子
講師ご講演の様子2
講師ご講演の様子2
講師ご講演の様子3

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