CSAJ高齢者雇用推進セミナー開催終了報告

2017年11月14日

第4次産業革命時代におけるIT技術者育成を担う高齢者の役割とは?
~CSAJ高齢者雇用推進ガイドラインの活用事例紹介~
<独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)事業>

 一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(CSAJ)では、「働き方改革研究会(主査:中村憲司)」と「人材育成研究会(主査:冨田伸一郎)」が共同で、「第4次産業革命時代におけるIT技術者育成を担う高齢者の役割とは?」と題した高齢者雇用推進セミナーを、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)受託事業の一環として、平成29年10月27日(金)に、袋井市総合センターで開催いたしました。
 開催にあたっては、当協会の行政会員である「袋井市様」の多大なるご協力のもと、そして袋井市様とふくろい生涯現役促進連携協議会様が共催となり、さらには、袋井商工会議所様、浅羽町商工会様にご後援をいただき、20社・団体/41名の皆様にご参加いただき、無事に終了することができました。

開催概要

主催 一般社団法人コンピュータソフトウェア協会 働き方改革研究会・人材育成研究会
共催 袋井市(静岡県)、ふくろい生涯現役促進連携協議会
後援 袋井商工会議所、浅羽町商工会
会期 平成29年10月27日(金)14:00~17:30
会場 袋井市総合センター4階会議室
静岡県袋井市新屋1丁目2番地の1

内容

 当日は、冒頭に、関係者からの挨拶ではじまり、その後、講演、事例紹介、パネルディスカッションの3部構成でセミナーは開催されました。

1.あいさつ

 はじめに、CSAJから働き方改革研究会の中村 憲司主査および人材育成研究会の冨田 伸一郎主査より、本セミナー開催にあたり、挨拶がありました。
 続いて、本事業の受託元である独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)からは、雇用推進・研究部 産業別雇用推進課長 松田 忍様から本セミナーを開催するにあたっての経緯説明と感謝が述べられ、そして共催として協力をいただいた袋井市からは原田 英之市長より、袋井市で開催することになったことへの歓迎の言葉と袋井市で取り組んでいる施策等について簡単にご紹介いただきました。

2.講演

ふくろい生涯現役促進連携協議会事務局長(袋井市産業環境部産業政策課長)村田 雅俊 氏

 最初の講演は、「生涯現役促進地域連携事業「ふくろいTaskAruネットワーク」の取り組みについて」と題して、ふくろい生涯現役促進連携協議会事務局長の村田雅俊様より、ご講演をいただきました。袋井市では地域活性化に向けた取り組みが行われており、特に高齢者だけでなく子育て世代でも活用できる「3day Worker‘s office」構想や、お試し就労の導入、シルバー人材センターとの協力による元気に楽しく働く高齢者からの具体的な事例をご紹介いただきました。

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)  静岡支部
高齢・障害者業務課長 竹中 信子氏

 2つ目の講演は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED) 静岡支部の高齢・障害者業務課長 竹中信子様より、機構の支援制度として1)高齢者雇用アドバイザー、2)65歳超雇用推進助成金、についてご紹介いただきました。また、昨年、CSAJが発行したガイドラインに掲載されている支援策については、一部改訂されているところがあること、そして現在は「生産性向上支援訓練」が新たに始まっていることなどが紹介されました。

国士舘大学 政経学部経済学科 教授 梅澤 隆氏
(元:CSAJ 高齢者雇用推進委員会 委員長)

 講演の3つ目は、昨年当協会が発行した「コンピュータソフトウェア業高齢者雇用推進ガイドライン」の内容について、昨年まで本事業の取りまとめを行っていた「高齢者雇用推進検討委員会」の委員長であった国士舘大学の梅澤隆教授より、ご説明がありました。CSAJが平成27年度から取り組んできた高齢者雇用推進事業、そしてCSAJにおける取り組みの経緯(委員会活動、アンケート調査の実施、ガイドラインの策定等)やガイドラインのトピックスなどについてご説明がありました。

 紹介された「コンピュータソフトウェア業高齢者雇用推進ガイドライン」は、以下のWebからご参照いただけます。

3.事例紹介

 事例紹介では、コンピュータソフトウェア業高齢者雇用推進ガイドライン活用の具体的な事例を「株式会社インテリジェントウェイブ様」「株式会社フォーラムエイト様」の2社より紹介いただきました。

株式会社インテリジェントウェイブ 特別顧問 山本 祥之氏
CSAJ 副会長/CSAJ 人材委員会 委員長

 最初は、株式会社インテリジェントウェイブ 特別顧問 山本 祥之様から説明があり、同社では、平成25年より高齢者雇用安定法の改正を受け、すでに社内の関係規程および協定書の改定を行い社内説明も行われ、その後社内での検討を踏まえ、進路選択性の導入や、早期退職優遇制度などが制度化されました。具体的には、平成27年3月以降に55歳に到達する社員に対して進路選択フローを提示し、早めに進路選択の機会を提供したり、早期退職優遇制度の導入では、平成29年7月現在までに6名が、早期退職制度を利用したなどの事例が紹介されました。

株式会社フォーラムエイト東京本社 システム開発グループ主事 佐藤 隆一氏
元:CSAJ 高齢者雇用推進委員会 委員

 続いて、株式会社フォーラムエイト東京本社 システム開発グループ主事 佐藤 隆一様からは、体験談を含めた事例紹介がありました。佐藤様自身が、現在、一般的な企業での定年といわれる年齢になっているが、同社の定年は、66歳となっている。来年は同社で初めて定年を迎えるとのことで、従業者の立場から加齢によるアドバンテージやディスアドバンテージについて説明があり、会社としては、筋道を立てた業務、本質を見抜く力、例外処理・異常時の対応(過去の経験則による対応)などのアドバンテージが大きいほど高齢者でも継続雇用を望むのではないかなどの説明がありました。

4.パネルディスカッション

 以上の講演、事例を踏まえ、「第4次産業革命時代におけるIT技術者育成を担う高齢者の役割とは?」と題したパネルディスカッションが行われました。

モデレータ:冨田伸一郎氏(人材育成研究会主査)
パネラー :中村憲司氏(働き方改革研究会主査)
梅澤隆氏(国士舘大学 教授)
山本祥之氏(株式会社インテリジェントウェイブ)
佐藤隆一氏(株式会社フォーラムエイト)

パネルディスカッションでは、次のような意見がありました。

<第4次産業革命時代における課題>
・簡単に使える技術がたくさんあるが、知らなすぎる
 例)手入力で検索していたものが、音声で認識される
   カメラで撮影したものが自動で翻訳される
・年齢が高い人は、新しい技術に触れたがらない(怖がり)
・米国や中国と違って日本は高齢者の人口が多くなることからそこがマーケットになる
・高齢者こそが新しい技術に触れて、高齢者向けのサービスを考えてほしい
・企業としては、高齢者に関係なく従業員の適材適所を考える必要がある
・企業としては、他力本願や周りの様子に横並びするようでは長続きしない
・技術の革新は何か、それは常識を変えることが必要
・多様化しているこの世の中では、多様性が重要
・新技術が出てくることで、仕事が変わる、職域が変わることを理解しなければいけない
・デジタル革命は失業者が増える、仕事がなくなると怖がっているように思われがちだが実際はそうではない。
・日本は何事にも消極的なので、もっと積極的に取り組む必要がある
・働き方改革を行う上では労働基準局の対応や労働関連の法整備も必要
・米国では社会保障は個人負担となっているため、副業が普及しているが、日本は企業側の負担も大きいことから、
 副業を推進することは消極的。これを拡大させるには国の制度の見直しが必要

<新しい時代を迎えたときの高齢者の役割とは>
・日本の労働力がこの先減少することは現実的に抱える問題であり、どのようにカバーしていくのかを考えると、
 未就業の女性の活用や高齢者の活用が考えられる
・高齢者の仕事がなくなると考えるのではなく、働けるような環境を作る必要がある
・日本の企業側は、業務の仕方を見直す必要がある
 (米国のようにJOB単位で業務を明確に切り分けることで責任分担も明確化できるし、高齢者が対応できる業務も増える)
・広範囲の最新技術に対応していくには、コーディネートが必要となり、その役割は経験値の高い高齢者が適任
・新技術を習得するのは若年者が行い、その習得された技術をいかに組み合わせるかが高齢者の担う役割ではないか
・若年者は、新技術をお客様のどこにどのように活用できるかを考える力が不足しているのでそこに高齢者の知見や経験値が必要となる
・農業では、2/3以上が高齢者となっており、その高齢者の多くが匠の技を持っている。
 この技術をデータ化するのが難しいので、高齢者が持つ知見、経験値などの生データは重要となる
・バーチャルに対応する能力は若年者が得意、リアルに対応する能力は高齢者が優れているので、これを統合することで
 新たな技術・サービスへの展開が期待できる

 以上の議論の結果、最後にモデレータの冨田主査より、以下の通りまとめられました。
 「高齢者」という言い方そのものが、あまりイメージがよくない表現なので、今後はこの表現も考える必要があるのかもしれませんが、ここでは「高齢者」との表現でまとめます。
 第4次産業革命時代における「高齢者」の役割は、上述の通り、これまでの経験値、知見などを生かした現場対応やコーディネート、そして若年者へのアドバイスなど高齢者が活躍する場はまだまだたくさんあります。活躍する「高齢者」に対し、新技術を駆使することによって、現場での業務負担が軽減され、また、国の制度で規制される課題が解決されることで、第4次産業革命時代における「高齢者」は、「主役」として活躍されることになるであろうとの結論となりました。

 以上、すべてのプログラムが終了したのち、質疑応答と名刺交換会が行われ、終了しました。
 この場をお借りして、本セミナー開催にあたり、ご協力をいただきました皆様に感謝いたします。
 なお、当日は、登壇者の皆様のご了解をいただき、LIVE配信を試みました。セミナー終了後も継続して、以下のWebにて公開しておりますので、ご興味をお持ちの方は、ぜひご覧ください。

 また、CSAJが発行したコンピュータソフトウェア業高齢者雇用推進ガイドラインは、以下のWebからダウンロードが可能となっておりますので、必要に応じて、ご活用ください。

お問合せ先

 事務局
 一般社団法人コンピュータソフトウェア協会
 担当:井上・山田(E-mail:gyoumu1@csaj.jp)
 TEL:03-3560-8440 FAX:03-3560-8441

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