ソフトウェア業の取引適正化について

2022年8月4日

省庁・団体名

公正取引委員会

内容

 公正取引委員会は、今般、ソフトウェア制作の取引に関する実態調査を実施し、令和4年6月29日、「ソフトウェア業の下請取引等に関する実態調査報告書」を公表しました。

本調査は、昨今のDX化の流れを支えるソフトウェア業において、多重下請構造型のサプライチェーンの中で、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号。以下「下請法」といいます。)の買いたたき、仕様変更への無償対応要求といった違反行為の存在が懸念されていることを踏まえ、実施されたものです。

  • 買いたたき、支払遅延等が多重下請構造型のサプライチェーン上を連鎖していくこと
  • エンドユーザー・元請・下請間において成果物に関する正確な共通認識を形成しづらいという特性が「不当な給付内容の変更・やり直し」などの問題を誘引していること
  • 多重下請構造の下、商流上は形式的に関与するものの、実際には何らの業務を行うわけでもないのに利益を上げている「中抜き」事業者が存在していること

等の状況が認められました。

 公正取引委員会としては、こうした問題となり得る行為が行われる背景に、エンドユーザー・元請・下請間の契約内容がサプライチェーン全体において、必ずしも明確になっていないことがあり得ると考えています。また、「中抜き」事業者の存在を含む複雑な取引関係を背景として、下請法上の違反行為や、独占禁止法上の優越的地位の濫用として問題となるケースも、潜在的に多く存在している可能性があります。

 例えば、①「中抜き」事業者が発注者と外注取引先の間に介在する取引の場合には、発注者である親事業者は「中抜き」事業者が介在した後も、引き続き、下請事業者との間において下請法を遵守する必要があり、親事業者が、自らと下請事業者との間に「中抜き」事業者を介在させて、そのことを理由に不当に下請代金の額を低く定める等の行為は、下請法上問題となり得ます。また、②「中抜き」事業者が親事業者より前の商流に介在する取引の場合であっても、親事業者が納品後に「中抜き」事業者を含む全体の取引関係が未だ確定していないことを理由に、あらかじめ定めた支払期日までに下請代金を支払わない行為は、下請法上問題となり得ます。

 このような状況を踏まえ、独占禁止法及び下請法違反行為を未然に防止し、取引の適正化を図る観点からは、サプライチェーン全体において、契約内容の明確化が図られることが望ましく、あわせて、「中抜き」事業者の存在はいたずらに多重下請構造の多層化を深め、独占禁止法及び下請法違反行為を誘引・助長するおそれがあることから、業界全体においてサプライチェーンのスリム化に向けた取組を進めていくことが期待されます。

▼詳細はこちら
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jun/220629_software.html

お問い合わせ先

公正取引委員会事務総局 経済取引局取引部
企業取引課 電話 03-3581-3373(直通)
ホームページ https://www.jftc.go.jp/

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