「専務のツブヤキ」
~海外歴史ドラマからの学び、無実か、無能か~

2022年2月15日

SAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 今回はITや政治・経済からちょっと離れたツブヤキをしたいといます。昔から 私は歴史が趣味的に好き です。特に、昔の兵法などはマネジメントにも通じて興味深く、私の「座右の銘」は孫氏の「 彼を知り、己を知れば、百戦危うからずや 」です。そのせいもあり、1年くらい前に偶然中国や韓国の歴史ドラマを見たのですが、それからハマってます。

 おかげで、中国や朝鮮半島の歴史はほぼ完ぺきに頭に入りました。また、ドラマを見ていると日本のそれとの違いも興味深いです。まず、ドラマでは毒を飲まされたり、刺客と格闘して殺される、病死など 死ぬシーンがよく出てきますが、必ずと言っていいほど中韓のドラマでは口からドバーッと血を吐かせます 。日本のドラマでは、死ぬシーンでも、病死くらいでは血は吐きませんし、精々戦闘シーンでも口から血がしたたり落ちるくらいですよね。文化の違いでしょうか、私的には非常に面白いです(^_^;)

 ただ、韓国のドラマを見ていると、どうしても歴史感の違いを強く感じる時もありますね。例えば、ハングル文字を発明した世宗 (セジョン)の時代に 応永の外寇 (1419年:倭寇への仕返し)という朝鮮による対馬侵攻がドラマで描かれていました。主人公の世宗(ドラマでは良い人役)は外交での解決を目指しましたが、上王(世宗の父)がイケイケで止む無く対馬を軍事侵攻しますとのストーリー。戦闘シーンでは延々と朝鮮兵に対馬の侍が切られまくるシーンが続きました。そこで、私はWikiで応永の外寇について調べるとこんなデータが載っていました。戦力比較は対馬側600人、朝鮮側17,285人、損害の比較では、対馬側123-200人、朝鮮側2500-3700人となっていました。Wikiには日本側と朝鮮側の資料から客観的に記述がされていると思うのですが、 どうみても朝鮮側のボロ負けで、対馬側が600人で2万人近い敵に勝利して撃退した としか思えません。でも、ドラマのナレーションですが、 今回の侵攻では朝鮮側の人道的配慮から対馬側の被害は百数十名に留まったと世宗を持ち上げるコメント 、私的には?!としか言いようがありませんが、 やはり韓国と付き合うのは大変 だなと思った次第です。

 また、中国の清の全盛期、 乾隆帝時代のドラマ では、マネジメントの参考になりそうな話も興味を引きました。当時、全国的な水害で皇帝は被災地に救援米を送るように指示しましたが、官吏の腐敗により途中で救援米がどんどん抜かれて、ある現地で救援米が足らずに暴動となりました。その現地責任者がたまたま皇后の父親でその責任を問われました。乾隆帝は、皇后からは父は清廉潔白、腐敗した官吏が悪いので無実と訴えられます。一方、母親の皇太后は腐敗した多くの官吏を罰すると皇帝が彼らから恨みをかい今後の政に支障が出るのを心配して、乾隆帝に「 彼は無実(善人)だが無能である。現に腐敗した官吏の担当する他の地域では暴動は起きていない。やはり彼を人身御供として罰すべき 」と言います。そして、結局、乾隆帝は皇后の父を死罪に処します。

 つまり、善人で有能なら言う事なしだが、悪人でも有能(腐敗官吏)なら使い道がある。悪人でも無能なら(悪事をしても失敗するから)無害だが、善人で無能な者は、善人だけに辞めさせることが難しく、その間に事態を悪化させ善政の妨げになり有害(その時は罰すべき)であると解釈しました。

  中国的価値観は有能な人は善でも悪でも使いようがあるが、無能に関しては善人(悪意が無い)の方がむしろ厄介(事態を悪化させる)という意外なもの でした。そういえば、水戸黄門で必ず事態を悪化させて黄門様登場のお膳立てをするのは、そういう人達(無能な善人)なのかなぁと思います。日本では有能・無能よりも善悪の方が重視されていて、勧善懲悪的な水戸黄門が好まれますが、中国では逆なようです。これも価値観の違いを感じました。

 ただ、 5千年の歴史の重みのある価値観ですから、会社経営のマネジメント(人の使い方や評価)において参考になる話 かなと思うのは私だけでしょうか。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会(現:一般社団法人ソフトウェア協会)専務理事に就任。

PAGE TOP