「専務のツブヤキ」
~認定情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)制度の創設~

2018年8月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 今春から私はCSAJを代表して中小企業庁の「スマートSME研究会」の委員として中小企業へのIT導入を如何にして推進すべきなのかという議論に参加してきました。

 ご案内の通り、平成28年度補正予算で、 IT導入補助金 が初めて認められ、これにより、 約4500社のベンダーが約2万件の予約管理システムや出荷・受注の効率化ツール等のITツールを登録し、当該ツールの導入により、経営課題解決に寄与(1.5万者) しました。

 一方で、課題として、中小企業からは「どのITツールに効果があり、安全に利用できるか分からない」との声や民間ITベンダーは販路が脆弱なども見えてきました。ただ、商工団体、士業などの中小企業に身近な支援機関と協業したベンダーが短期間で多くのIT導入を実現するなど確実にIT導入補助金はその成果を上げてきました。そこで、中小企業へのIT導入を今後とも促進し、その生産性を一層向上させるため、こうした課題や解決方策について、スマートSME研究会で検討してきた次第です。

 お陰様で、2018年7月9日に「中小企業等経営強化法」の一部改正が施行され、これにより 「情報処理支援機関(スマートSMEサポーター)」として認定する制度が創設 されました。スマートSMEサポーター制度とは、中小企業の生産性を高めるためのITツールを提供するITベンダー等を「スマートSMEサポーター」として認定する制度のことです。ITツールを導入したい中小企業は、どんなツールをどんな企業に依頼すればいいかわからないといった悩みに対して、スマートSMEサポーターや当該サポーターの開示情報を見ながら依頼先を選定することができます。

というのは、スマートSMEサポーターには次のようなことが求められているからです。

①IT及びITツールに関する専門的な知識・経験・実績を有していること
情報処理支援機関の認定に申請する者は、 3年以上のソフトウェア又はクラウドサービスの提供実績、または10者以上の中小企業への提供実績 を有していること。

②生産性向上を行おうとする中小企業者等に対しIT利活用に係る指導及び助言が行えること
③⻑期間にわたり継続的に⽀援業務を実施するための実施体制を有すること
広く中⼩企業者等に対して、情報開⽰を⾏うことに同意できること
 申請時に取得する情報(事務所の所在地、情報処理支援業務の内容等)はホームページ等で公表されるとともに、第三者により当該情報が二次利用される場合があることの同意 などです。

 なお、本制度及びITの利活用が中小企業者等に浸透することを期待して、認定された情報処理支援機関の愛称を「スマートSMEサポーター」とし、 認定された情報処理支援機関には登録番号入りのロゴマークが提供 されますので、同マークの有無が中小企業から見て当該ITベンダーを信頼して良いかどうかの目安になることでしょう。

 同スマートSMEサポーター制度の創設にあたっては、事前に中小企業庁からCSAJに対して相談があり、 CSAJでも政策委員会内に中小企業IT導入支援ワーキンググループを設置して、中小企業庁と昨年から議論し、色々と意見も行ってきたことから、深くコミット してきました。その意味で、 CSAJ会員企業にもスマートSMEサポーター制度はぜひ活用して頂き、IT導入補助金を使って中小企業向けのIT市場を拡大して頂ければと願っている次第 です。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

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