「専務のツブヤキ」
~続く災害のお見舞いとエグゼクティブセミナーを終えて~

2018年7月15日

CSAJ 専務理事 笹岡 賢二郎

 先月、大阪北部地震があったと思えば、今月は西日本では豪雨被害が平成で最悪とのこと、 被害をあわれた会員企業並びにその従業員及びご家族の方に対し心よりお見舞い申し上げます

 地震は我々もある程度日頃から心構え的なものがあると思いますが、雨は台風でもない限りどうしても大したことは無いと思いがちではないでしょうか?私は、10数年前、高松に勤務していたころ、迫りくる水の恐怖を初めて経験しました。高潮です。夜中に高潮警報が出て外を見ると海水が波を立てて道を伝って我が家に迫ってきました。近所の方はほとんど就寝していてドアを叩いても反応がありませんでした。結局、皆さん、高潮に気付かず朝まで車を駐車場に置いたままにして、海水のため全て廃車となり、そのおかげでその後の高松市の新車販売台数は過去最高になりました。今回、ニュース映像で家の前が濁流で車が浸水している光景を見るとつい高松のこの経験を思い出してしまいました。

 ここからは蛇足です。私は寸前のところで、妻と幼子を残して家を離れ、車を運転して高台に移動させて難を逃れました。我が家は官舎の一階でしたが、幸い水は階段踊り場手前で止まってくれました。結果的に車を優先した私の判断は正解だったのですが、その時の家に取り残された妻の心細かった心情を思うと今でも心が痛みます。でも、私が家に離れる時散々愚痴っていた妻が、車が無事だったのは近所で我が家だけだったことを知った時、掌を返したように一番喜んでいるように見えました。

 エグゼクティブセミナーは7月6~7日と、その豪雨の真最中(長崎も大雨特別警報が発令中)に開催することになりました。しかしながら、激しい雨の中でしたが、幸いなことに初日は長崎県立大学情報セキュリティ学科、長崎県の企業誘致施設を無事訪問し、翌日の懇親行事も全て恙なく終えることができました。

 長崎県立大学は、 日本で初めて、情報セキュリティ学科(定員;40名)を創設 した大学で、初代学科長は私の情報処理推進機構時代の部下だった 小松文子教授 が務めていたご縁で今回の訪問が実現しました。まだ、3年生までしかおらず、卒業生が出るのは2020年4月ですが、 荻原会長の一言で、そろそろ就活にはいる3年生達と意見交換の機会 をもつことになりました。CSAJ側からはIT業界の学生への期待をしっかりと伝えることができたと思いますし、我々も学生の考えを聴くことができ、大変有意義な視察であったと思いました。

 同大学の取り組みで特徴的だったのは、 企業インターンシップの活用と3年次進級要件にITパスポート試験合格、卒業要件に情報処理技術者試験の情報セキュリティマネジメント合格を課している 点です。インターンシップは3年次夏季に3週間、東京を含む県外企業(富士通SSL、住友電装、あずさ監査法人など)にも受け入れてもらっています。今回の訪問をご縁に、早速 インターンシップの学生の受け入れを小松先生に打診する方もおられました ので良かったと思います。情報セキュリティマネジメントは3年生の半分以上がすでに合格し、4年次には全員合格を目指しているとのことでしたが、学生のみならず指導教官にも相当のプレッシャーになっているのではないかと老婆心ながら大丈夫かなと思わらずにはいられませんでした。

 その日の懇親会には、大雨特別警報で大変な時にもかかわらず、 中村長崎県知事も来賓でお越し頂き、来賓代表でご挨拶を頂きました 。今回のエグゼクティブセミナー、本当に長崎県やその関係者と良いご縁ができたと思った次第です。

筆者略歴

笹岡 賢二郎(ささおか けんじろう)

1961年生まれ、1983年に通商産業省(現経済産業省)入省、機械情報産業局電気機器課、科学技術庁、資源エネルギー庁、立地公害局、防衛庁、工業技術院、基盤技術研究促進センター、JETROクアラルンプールセンター、文部科学省、四国経済産業局などの勤務を経て、2005年7月より新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、2007年7月より九州経済産業局地域経済部長、2009年7月より中小企業基盤整備機構の業務統括役兼総務部長、2011年7月独立行政法人情報処理推進機構の参与兼セキュリティセンター長などを経て、2013年7月から東京工科大学にてコンピュータサイエンス学部 コンピュータサイエンス学科教授、片柳研究所所長、工学部 電気電子工学科 教授兼コーオプセンター長。2016年6月に一般社団法人コンピュータソフトウェア協会専務理事に就任。

PAGE TOP