「愛と繁栄を実現する経営改革」社員は”手足”か”頭脳”か?

2018年12月1日

CSAJ 監事 戦略経営コンサルタント 公認会計士 山田隆明

 伝説の経営コンサルタント一倉定氏は、「経営者はワンマンであれ!」と言う。
”業務意思決定は社員に任せても、経営意思決定は社長自身が行わねばならない”。
”もし経営が破綻したら責任を問われるのは社長なのだから、重要な決定は自分の責任で行え”と。
 しかし今日、経営意思決定も権限委譲すべきとの意見が大勢だ。独裁はダメだ、民主的やり方が良いと。
 では、どちらが正しいか? すなわち、ワンマン型で社員を「手足」として扱うのが正しいか、それとも権限委譲型で社員も「頭脳」として扱うのが正しいか?

 先日、RIZAPの決済発表があった。子会社不振により今期は最終赤字に転落見込とのことだ。
社長は、理由を「権限委譲の名のもとに現場主義を進めてきたが、結果として放置してしまうことになった」ためと説明しており、対策として「今後は一社一社をしっかり見ていきたい。」と述べている。(11/16日経MJ誌)
同社は最近事業の多角化を目的とする「RIZAP経済圏」を目指して、生活雑貨やアパレルや美容分野などを次々と買収し、買収した子会社の経営を”中途採用の専門家”たちに任せた。(同誌)
任された”中途採用の専門家”たちは、異なった社風、異なったビジネススタイルの中でやってきて、経営のやり方はまちまちだ。また経営手腕レベル的にも優秀な人もダメな人もいる。そういう中で、子会社を買収しさえすれば、自動的にシナジーが発生して全てがまとまりうまくいくというものではない。
 こういうときは「手足」でいくべきだ。そして、社風やスタイルやレベルが一つにまとまったところで「頭脳」に切り替えるべきだ。
 この判断ミスの影響は大きい。同社は不採算事業を切ると言っており、近く多額の事業整理損を抱えることになろう。

 一方、ユニクロは、伸びている時は「手足」でやり、出店が一段落してからは「頭脳」に切り替えてうまくいった。
以下、同社の柳井正氏の著書から引用する。
「1990年代前半の(急成長していた)頃は「手足」が正しかった、もし一人一人の社員が発想して(すなわち「頭脳」になって)やっていたら進路や方向性を失っていたはずだ。トップダウンの体制でなければ、次々と高くなるハードルを乗り越えることは難しかったと思う。」
 「会社の成長過程からするとこんな時期も必要かもしれないが、「手足」はそのままでは満足できないはずだ。」
 「どんな優秀な経営者でも、全ての業務を一人で完璧に操りフォローできるということはありえない。各業務、各部門の「手足」が同時に「頭脳」でなければうまく仕事が回らないし、完結しないはずだ。」と述べ次のように結んでいる。
 「企業には成長のステージごとに最適な教育が必要なのだ。」と。(柳井正著「一勝九敗」より)

 社員は”手足”か”頭脳”かの答えは、ユニクロのように「同じ会社でもステージごとに異なる」とするのが正しいと思う。

(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

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日時 12月11日(火) 14:00-16:00
会場 わくわく経営株式会社 セミナールーム
東京都渋谷区恵比寿南1-20-6 第21荒井ビル4階
受講料 無料
詳細・お申込 https://www.wk2.consulting/セミナー/

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
わくわく経営株式会社 代表取締役
戦略経営コンサルタント 公認会計士

山田 隆明Twitter

1959年 名古屋市生まれ。
株式会社インテックで10年間基幹システムのマーケティングおよび営業。
その後公認会計士を経て、
現在:戦略経営コンサルタント、わくわく経営株式会社 代表取締役。
“社長がワクワクしながら、意気込みをもって、本気で経営に取り組めるよう、社長の右腕になる”

コンサルティング内容:

  • 「経営戦略」立案支援
  • 「経営計画」立案支援
  • 「経営管理PDCA」実践支援

2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。

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