「愛と繁栄を実現する経営改革」経営哲学~誠実な経営者~

2018年1月1日

CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明

 私は最近「誠実な経営者」の方々に恵まれている。

(1) A商社の社長は、仕入先が犯した”不適切行為”について、「お客様から見れば当社の犯した”不適切行為”である」として、誠実に対応するよう社員に指示をされている。
 今日ではとかく「法的には問題がないから」とか「契約書に謳ってあるから自社の責任ではない」などと言っては責任回避を図ることがいわば風潮になっている中で、極めて誠実な姿勢だと思う。まさに私の尊敬する経営者である。
(2) Bコンサルティングの社長は、間違った姿勢の経営者に「自分のお遊びで経営するな!相手のためにやれ!」とお叱りになる。ひたすらお客様のことを考えるからこそのお叱りだ。言われた方も喜ぶ。だから会った人は皆がファンになる。
 私もこの社長から「信頼」というものの大切さをあらためて学ばせていただいた。
(3) C建設の社長は、成功した創業者社長でありながら決して驕らないすぐれた人格者である。 
 彼らはそろってご自分の”経営哲学”を持っておられる。中身がいずれも「誠実さ」だという点で共通している。

 「誠実さ」とは、「お客様」の方を向くこと、「社員」「外注先・仕入先」を大切にすることだ。
 これを”経営理念”に謳う会社は多いが、実践している会社は少ない。肝心なのは”絵に描いた餅”ではなく実践することだ。
 「誠実な経営者」は、日々“宗教”の教えを実践されている方々ともいえる。すなわち、キリスト教でいう「隣人愛(自分を大切にするように他人を大切にしなさい)」、仏教でいう「利他(自分のことよりも他人の幸福を願いなさい)」の教えをビジネスという実務をとおして日々実践されているのだ。彼らは尊い教えを実践されているのだから、失敗するはずがない。
 「誠実さ」は言い換えれば「信用力」だ。信用力があれば少しばかり失敗しても相手がフォローしてくれる。こういう会社は長続きする。
 こうした日本式の良き”心”に対して、欧米式の”契約”ないし”規則”が今日蔓延しているのは寂しいことである。
 信用を得るにはたいへんな努力と時間を要する。その努力をしたくないから、”契約書”や”規則”を利用して自己の責任回避を図っているのだとすれば実にけしからんことだ(けっして契約等がダメだと言っているのではない、信頼獲得努力を怠る理由に契約等を”利用”する姿勢がダメなのだ)。そんな連中は少しでも失敗したらお客様は許してくれない。だから長続きしない。要するに”経営哲学”が欠如しているのだ。
 今だからこそ”経営哲学”の重要性を声高に叫びたい。


(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ

山田 隆明Twitter

1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。

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