「愛と繁栄を実現する経営改革」百年企業を創る経営計画

2017年12月1日

CSAJ 監事 公認会計士・税理士・ITコーディネータ 山田隆明

 先月Y社の経営状態を見た私は放漫経営ぶりにびっくりした。
社長である父親が寝たきりのため実質的にはY君が経営しているのだが、そのY君があきれた無駄遣いなのだ。
というのも、売上が建物賃貸収入の年間240万円に対して、すでに交際費などに250万円も使ってしまっている。
この先どれだけ節約しても赤字確定だ。(単位:万円)

売上高 240
固定費 交際費 他 250
差引)利益 -10

 それでいてY君は「カネがない」とボヤいている。ないのは当然だ、無駄に使ってしまったのだから。
じっさいY社の実状は、社長の給料すら払えない、父親から借りた借入金もまったく返済できない、火災保険料も払えず火事になったらなったときだと開き直っており、税理士に払う報酬もないというものだ。
 放漫経営の原因は、公私混同による無駄遣いに加えて、経営計画を無視した成り行き経営にある。
当初、Y君は私といっしょに次のような経営計画を立てた。(単位:万円)

売上高

240
固定費 社長の給料 96

地代 24

火災保険料 12

借入金利息 6

税理士報酬他 18

減価償却費 72 228
差引)税引前利益

12
法人税等

10
当期純利益

2

この計画なら上述した費用はすべて支払うことができる。それどころか黒字になる。
しかも、キャッシュは74万円(=当期純利益2+減価償却費72(注))残り、父親に対する借入金を約束どおり年間70万円返済することが可能になる。
となると父親にとっても、その返済と利息および給料で年間収入は計176万円になり、年金収入も加えれば十分に暮らしていける。
すなわち、経営計画どおりやっていれば、会社も社長個人も安泰でいられるのだ。
 本ケースは、計画経営をやらずに成り行き経営に陥ったためにダメになった事例である。
ここに経営計画の必要性と効用がある。

(注)減価償却費はキャッシュ流出を伴わない費用のため、キャッシュ残高の計算上は利益金額にプラスする。


(注)本コラムの内容は筆者個人の見解に基づいており、当協会の見解を示すものではありません。

筆者略歴

山田 隆明(やまだ たかあき)
山田隆明公認会計士事務所 所長
公認会計士・税理士・ITコーディネータ

山田 隆明Twitter

1959年 名古屋市生まれ。東海高校、慶応義塾大学経済学部卒業 。
株式会社インテック(基幹業務パッケージソフトの企画及び販売)、
監査法人(会計監査)を経て、
2003年 山田経営会計事務所開業、現在に至る。
---税務だけでなく、経営判断のための会計、人をヤル気にする会計を。
2009年9月から一般社団法人コンピュータソフトウェア協会監事。

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